謎の女-2
若さを羨ましく思う杏奈だったが、若菜の姿には渚よりも驚かされた。
「お待たせしました〜。」
胸元が空いた白のタイトなブラトップにホットパンツ。当然生足だ。
「わっ…!」
まず渚が驚く。
「お、お尻はみ出てるよ!?」
もはや杏奈は保護者的な心配だった。
「仕事の時は地味なかっこうばかりしてるからせめてプライベートは、ね!」
ポーズを決めてサングラスをかけた。
「か、カッコイイ…!」
渚は目を輝かせていた。
「おっ、上原!相変わらずエロいな!」
石山と俊介が降りてきた。石山は若菜のファッションは知っている。しかしあまり知らない俊介は目のやり場に困っているような仕草を見せた。
「じゃ、行きますか。」
5人はホテルを出る。まずは女子3人が出て行き、少し遅れて石山と俊介が出て行く。他人の振りをして女子3人を監視しながら周囲もチェックする。
街でナンパされホテルで麻薬に誘われた被害者も数多くいた。そして麻薬漬けにされ膣楽園のような風俗で働かされたり、街で売春がてらに麻薬を売らされたりするようになる。いや、麻薬を売る為に売春という手段を用いられているのだ。それらを取り仕切っているのが田口に指示されたリョーという女性だと考えている。
実は街に捜査に出ているのはこの5人だけではない。あるビルの一室に西山と刑事3人が待機している。麻薬売買の疑いを持つ人間が接触してきた時、その一室に誘い込む段取りだ。街中で逮捕すると目立つ。出来ればステレス作戦でリョーに気付かれずに売人を確保したい。とにかく今日のうちにリョーにたどり着ける人間を1人でも確保しておきたかったのだ。
若菜らの会話はイヤホンマイクによって石山らに伝えられる。だから若菜は石山の悪口は言わないよう気をつけていたりするのであった。
歩く3人には何人もの男が視線を向けた。とくに若菜にはギラギラした視線を向ける男が多かった。しかし意外と言ったら失礼だが杏奈への視線も多かった。やはり20歳代には持ち得ない女としての何かを漂わせているのであろう。完全に性の対象としての視線だと分かるものを杏奈は感じておりドキドキしてしまった。
(私もまだまだいけるのかな…♪)
仕事柄、あまり目立たないように普段は地味だ。しかし水城市やいなぎ市を訪れ、自分を知らない人間ばかりの中、今まで抑えてきた女としての自分を開放できる喜びを少し感じていた。
(今度、ミニスカートに挑戦してみようかな…♪)
若菜にオンとオフの切り替えたかを教わった気分だった。