俺のM女調教日記(23)-2
それは昔、俺が淑やかな人妻を調教したときに、眼に涙を浮かべ、
耐え忍んでいた美しい女を思い出させる。
由紀は逝きそうになりながら、細目を開けて俺の眼をみつめていた。
まるで、俺に逝く姿をみて欲しいと言わんばかりに。
その眼が俺の心の中に訴えている。
俺はその時にそう感じたが、それは間違っていなかった。
(佐渡様、由紀を、佐渡様の……)
男と女とには、相性というものがある、心がお互いを惹きつけることだ。
一目惚れ、というのもその内に入るのだろう。
俺と由紀がそうだった。
理屈では無い。
年齢的には、俺と由紀には二回りほどの年齢差がある。
しかし、そのことは男女の間では何の問題もない。
俺は由紀のそのインスピレーションを感じ、その思いに応えた。
(分かったよ、お前を俺の愛奴に譲り受けてやる)
由紀の眼を見つめながら、俺がそれを目で返すと由紀は頷いた。
その後、三、四回ほど由紀をバラ鞭で叩いた後、
俺は由紀の顔に俺の顔を近づけそっと言った。
「俺の愛奴になりたいのか?」
俺は、由紀の飼い主の桜庭に聞こえないように由紀の耳元で言った。
「はい」
由紀は汗ばんだ顔をして嬉しそうに頷いた。
「わかった、後で、桜庭から貰ってやる、それで良いんだな」
由紀は、黙って頷いた。
後は桜庭との話になる。
由紀が、どう言う関係で桜庭の愛奴になったのかは分からない。
桜庭が、由紀を引き渡すかどうかはまだわからない、
後は交渉次第だ。
S男同士で、こういう交渉はよくあることだ。
人によっては金で解決することもあり、愛奴を交換することもある。
信頼がある親しい間柄ならば、そのまま委譲することもあるのだ。
当然それを拒否することもある。