流行の服はお嫌いですか?-4
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(む……)
困ったと、ラクシュはアーウェンに抱きついて目を閉じ、思い悩む。
この綺麗な服は気に入ったし、何よりアーウェンがわざわざ選んでくれたものだ。
それが何より嬉しい。
し か し 。
大喜びのアーウェンがまとう、キラキラの光が眩しすぎて、目が眩んでしまう。
― きみのキラキラは大好きだけど……目が、目が――っ!
残念ながら、これを着て一緒にお出かけは無理、という結論に達した。
「アーウェン……」
暖かい鼓動を頬に感じながら、大好きな名を呼んだ。
吸血鬼の眼は、火の明りならば平気なのに、太陽の光には眩んでしまう。
アーウェンのキラキラが何なのか、未だにわからないけれど、彼がラクシュを好きと告げるたびに、キラキラは増えていく気がする。
そしてラクシュの目は、彼を見るのが辛くなる。
なんて綺麗で魅力的で残酷な光だろう。
こうして沢山抱きついていれば、いつかこの光を受けいれられるだろか。
それとも、陽の光を浴びて吸血鬼が消滅するように、触れすぎて死んでしまうのだろうか。
それでも構わないと思うほど、欲しくなる。
口元が自然に緩み、大好きな光の素を抱きしめた。
「―― きみは、眩し、過ぎるよ」
終