FATE NO.3-2
「なにが・・・?」
「好きな人に、自分の気持ちが通じなくてだよ。」
「・・・まさか・・・そんな山岡が・・・」
「俺の気持ちも知らないでこっちに引越しやがって・・・俺は小川実香。お前が好きなんだ。4年、お前に恋してた。そんで、俺と・・・その、つ、付き合ってくれねーか?」
小川の表情が慌てた感じになる。
「わ、私、男勝りだし色気ないし・・・しつこいぞ?山岡が別れたくなっても別れてやらないような嫉妬深い女だからな?んで、初めて付き合う男、すなわち山岡ともう結婚する気でいる変わった女だけど・・・それでもいいのか?」
「け、結婚?じょ、上等だぜ。性格は嫌ってくらい分かってるよ。そんな小川が俺は好きだから」
「・・・・・喜んで山岡俊の物になる。・・・付き合いたい。これから・・・そのよろしく。って恥ずかしいなぁ・・・ちぇっ・・・」
そう赤くなった小川が言った途端、小川は俺の胸の中にいた。
「小川に会えなくて4年、苦しかった・・・もう離すものか・・・俺はこの運命に感謝する。小川に二度も会えた運命に。」
「山岡、お前、公衆の面前で・・・」
さすがの小川も恥ずかしいみたいだ。
こうして俺と小川は付き合うことになった。
〜その夜〜
「ま、マジで?す、すげぇ、運命じゃねぇか!」俺は今親友直喜と家の電話で電話中だ。
「ちくしょう〜しかもあの小川が結婚する気満々!?あぁ、腹が立つ・・・俺は明日も仕事だぁ、だぁぁ彼女欲しい!!」
「オレと小川が結婚・・・やべ、顔がにやけちまう。ん?携帯にメール・・・ぁ、直喜、小川からメールだ!!」
「な、なんてきたんだ?」
「〈二日後初デートするぞ、場所時間は任せた。断るのは絶対駄目だからな。〉だってよ、絵文字も顔文字もねぇメールだ。小川らしいな。」
「シンプルなメールだな。デートかぁ・・・そうだ、映画とかどうだ?今おもしろいのあるし、行ったらどう?」
「映画か、良いな!!わかった!直喜ありがとよ!じゃあ、今から準備するぜ!バイバイ!!」
そんな感じで電話は終わる。
小川が俺の彼女になった・・・夢みたいだ。
おっと、小川にメールしないとな。
さぁ、初デート。頑張るぞ。
〜二日後〜
俺は今小川の家の前にいる。約束の時間まで後20分もある。
かなり緊張しているらしく、俺は小刻みに震えていた。
「よっ。おはよ、陸上馬鹿。」
愛しい声で緊張がほぐれる。
「彼氏になっても陸上馬鹿かよ・・・」
「うそうそ、行こ・・・・・俊。あと、私の事は・・・実香って呼べよ・・・」
「ぁ、あぁ、行くか、み、実香・・・・」
映画館は休日の割に意外に人が少なく、気楽な気持ちで鑑賞出来た。
「なかなかおもしろかったな!」
「あぁ、にしても実香がホラー好きとは意外だったな」
「自分自身が男勝りで人から恐れられるから当然、な。」
「ははは・・・」
楽しい、実香との時間は楽しすぎる。
「さ、帰ろうか、家まで送ってくれるよな?俊」
「あぁ、喜んでお送りするよ」
二人で話しながら帰ると長いはずの道程が短く感じられた。
「じゃあまた明日大学で。ぁ、そうだ忘れてた。」
「なにをだ?」
「(チュッ・・・)」
「・・・送ってくれた御礼。私のファーストキス・・・だ。ありがたくおもえよな。ん、じゃあねっ。」
唇と唇が軽く触れただけ。それだけで体が燃えるように熱くなった。
こうして俺は小川、いや、実香と付き合う事になった。
幸せだぜ、俺。
でも、俺達二人の幸せを揺るがしかねない出来事がせまって来ていることにまだ俺は気付いていなかったのだった。