やっぱりアイツはズルい男-3
「んじゃついでにアドバイスをお伺いしたいんですが?」
「……何よ」
「気のきいたプレゼントって、どういうのがいいと思……」
ホント、コイツは酷い男。
ムカついたあたしは、言下に陽介の頭をスパンと叩く。
小さな悲鳴と仰け反る背中に、クスリと笑いが漏れた。
「あんた、ホント成長してないわね」
「何がだよ」
「初めて出会った時もカノジョへのプレゼントを人に選ばせていたじゃない? そこから何も変わってないってこと」
「だって女の方がよりセンスいいもん選べるだろ?」
頭をさする陽介に、あたしは思いきりため息。
「他の女が選んだものより、センス悪くてもあんたが一生懸命選んだプレゼントの方が何倍も嬉しいに決まってるでしょ! 何度言わすのよ、バカ」
コイツ、マジ全っ然、女心をわかってない。
陽介が選んだプレゼントが一番嬉しいってことも、……カノジョのためにプレゼントのアドバイスをお願いされる方がどれほどキツいのかも。
そんな思いが態度に出てしまったのか、深い深いため息とともにそう言うと、
「……わかったよ」
と、陽介は下唇を付き出してむくれて見せた。
そんな彼に、言いたいことが次々出てくる。
「これからは、自分で考えて行動すんのよ。間違っても他の女に相談なんてしちゃだめよ」
「……はい」
「だからってなんでも言いなりになってもダメ。どちらか一方が無理してたら絶対バランス崩れるんだから、言いたいことはお互い溜めないで」
「へいへい」
「それと、気持ちはちゃんと言葉にして。時々でいいからちゃんと愛してるって言うのよ」
「……マジ?」
「それから――」
こうして、あたしのお説教はひたすら続いた。
これが女の子全てに通じるマニュアルかどうかはわからない。
でも、少なくともあたしは陽介とそんな関係になれたらと、ずっと思っていたことが、立て板に水のようにスラスラ口から出てきた。