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forget-me-not
【女性向け 官能小説】

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やっぱりアイツはズルい男-4

「……と、まあ、こんな感じかな」


一通りお説教を終えた頃になると、陽介はすっかり肩身が狭そうに背中を丸ませていた。


「……努力します」


自信なさそうなその声に、あたしはプッと噴き出してしまう。


「大丈夫よ。あれこれ面倒くさいこと言ったけど、お互い笑って一緒に過ごせれば、結局それが一番なんだから。……好きな人が隣にいてさえくれたら、それだけで幸せなのよ」


「そうなの?」


「そうだよ。陽介が恵ちゃんだけを好きって気持ちをしっかりもってればいいの。大丈夫よ、恵ちゃんもきっと陽介が大事にしているの、ちゃんとわかってるはずだから」


「……わかった」


「だから、頑張って」


そう言うと、陽介がふと顔を上げてこちらを見つめた。


数秒の沈黙の後に、互いに顔を緩めて少しだけ笑い合った。




「さて、あたしはそろそろ帰ろうかな」


掛け時計を一瞥したあたしは、トートバッグを肩にかけるとゆっくり立ち上がった。


つられて陽介も立ち上がる。


「送ろうか?」


「ううん、いらない」


「んじゃなんか着替えでも貸すか? そんな部屋着で電車乗るのかよ」


「平気だよ、別に」


いちいち気に掛けてくる所が鼻につく。


もうあたしに気持ちなんてないくせに。


どこまでも冷酷になれない、そういう優しさが一番辛いのに、それをわからない陽介。


あー、ムカつく!


不意にあたしの心に、矢印みたいな尻尾をもった悪魔が現れ、気付いたら目の前の陽介にズイッと詰めより、ニッと不敵に笑っていた。


「ど、どうした?」


そしてあたしは少し怯んだ陽介の両頬を、バチンと挟むように掴んだ。


「いっ……!」


痛さで顔をしかめる陽介。


少しだけ伸びた無精髭が手のひらにチクチクささる。


好きは結局言えなかったけど、これくらいは最後にハッキリ言ってやる。




「あんたのそういう無神経な優しさがムカつくのよ!」




次の瞬間、あたしはそのままスッと爪先立ちになって――。




――陽介のかさついた唇に自分のそれを重ねていた。




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