ボロアパート-2
優斗が中学二年生の時、学校の中で由里子の悪い噂が流れ出した。噂に重ねて給食費や教材費の滞納で優斗は学校へ行きにくくなり登校拒否を始めた。アパートにいれば寝ている由里子に腹が立った、せめて自分の学校の事を気にかけて欲しかった。だが、由里子はかつての母とは別人の様だった。ただ、時折布団の中で泣いている姿に優斗は母の苦しさを知っていた。
梅雨入りが発表された日、朝からシトシト雨が降り続け、アパートの廊下に数匹のナメクジが這っている。優斗は俊太とよくナメクジに塩をかけた事を思い出した。「美鈴さん帰って来る頃かなー?」急に美鈴が恋しくなった。廊下にいて、表の玄関が開くのを待った。30分が経った頃、引き戸が開き、傘をたたみながら美鈴が帰って来た。
「美鈴さんお帰りなさい。」
「ただいま。ここでどうしたの?」
「うーうん、別に・・・。」
そのまま美鈴は通り過ぎて部屋入っていった。優斗は胸に不思議な苦しさを感じた。ここにいても辛くて、明日から学校に行く事にした。
優斗にはモヤモヤした記憶がある。それはボロアパートに引っ越してきて間もない頃、腹痛で学校を休んだ時の事だった。母の由里子は仕事に出かけてしまい、一人で寝ていたが便意による腹痛が優斗を襲った。
部屋を出て共同便所に向かうとバケツに水を汲んだ美鈴がなにやら外の誰かと話をしている。優斗は便所の前で立ち止まった。
ボットン便所の汲み取りが来ていたのである。美鈴は外で汲み取りをしているおじさんと何か話しながら水を流していた。
「ゆうと君トイレ?」パジャマ姿の優斗に気付いて美鈴が聞いた。
「うん、、。」
「今、バキューム来てるよ、大丈夫かな?しちゃいなさいよ。」そう言って小さな窓に背を伸ばし、「おじさん!使って大丈夫?」と大きな声で聞いてくれた。
「おー、いいよ!」返事があった。
「大丈夫だって。トイレ使って平気よ。」
「はい。」そう言って、優斗は動こうとした瞬間、力が入ってパンツに漏らしてしまった。頭の中がパニックを起こす。動けない。
「どうかした?」美鈴の声がパニックを拡大させる。
部屋まで歩けない。そこまでは頭が回転してきた。小股で歩こうとしたがお尻が気持ち悪い。幸い便所の汲み取りの匂いが漂っており、大便の匂いは判りづらかった。
しかし、美鈴は察した。
「漏らしちゃった?大丈夫よ。ちょっとおいで。」そう言って自分の部屋のドアを開け、優斗を呼んだ。
困った優斗も美鈴の部屋に入った。玄関にさっきのバケツが置き、部屋の中へ美鈴が入っていく、何かを取りに行った。
「洗ってあげるから汚れたパンツをバケツに入れて。私、こっちにいるから。」
言われる通りに優斗はパンツを脱いでバケツに入れた。しかし、お尻が汚れていてパジャマのズボンを穿けない。
「大丈夫?」そう言いながらゴムの手袋をはめた美鈴が来た。
「あっ、ゴメン、大きい方を漏らしてたのね。」美鈴の目の前には両手でおちんちんを隠し、汚れたお尻を出した優斗がいた。
「朝からお腹が痛くて、、、。」優斗は死ぬほど恥ずかしかった。
「仕方ないよ。じゃあ、誰もいないからそのままトイレに行って。」バケツを持って美鈴は便所に行った。便器の中からはシュホ、グボッと汲み取りが続いている音が聞こえてくる。
バケツの中でパンツを洗い、便所に水を流した後で優斗を前屈みにさせた。お尻に付いているウンチを黙ってトイレットペーパーでふき取り便所に捨てる。大体きれいに拭き取った。
「もう一回、ウチへ行ってて。あっ、その前にウンチ全部出しちゃいなさい。」そう言って、バケツの中のパンツを丁寧に洗い始めた。
優斗はトイレを済ませ、美鈴の部屋の玄関へ行った。少しして、美鈴が戻る。美鈴はタオルを瞬間湯沸しで湿らせた。
「はい、もう一回お尻を出して。」タオルでお尻を拭いた。
「足も開いて。」股の間も拭いた。
温かいタオルが股の間に当たり、肛門から睾丸にかけて優しく拭かれた時に優斗の膝がガクガクと震えた。半立ちになっているペニスに目をやり、何かに気付いたのか、美鈴はタオルの汚れていない部分で優斗のペニスの先をサッと拭いたのである。
優斗には恥ずかしく消し去りたい過去だが、あの時に膝が震えた感覚が忘れられない。朧げな記憶だが股間にツーと快感が走り、波打つ様な不思議な気持ち良さを憶えている。思い出すとモヤモヤした気持ちになる。あの時に射精したのかどうかは、美鈴だけが知っていた。もし、射精していれば精通だったことになる。
美鈴の部屋から俊太と一緒の笑い声が聞こえて来た。優斗は一人部屋に戻った。