言えなくて…言えなくて-5
オレンジの眩ゆい夕日が、私と彼を照らし、今だ筆を走らせてる二人を残し
彼らの負い目を感じ、アスファルトに目線を置き落ち込む絆
「はぁ、二人に悪い事しちゃったな、ホントは解ってたのに無理して部室に入って、伊藤サンの言う通りだよ、部長失格だな…」
ポツリと、弱気な発言をする絆、ダガそれだけ美術部と後輩を大事にしてる証でもある
「そんな、大丈夫だよ、彼らだって…」
彼らだって、何だ、励まそうと口が勝手に開いたものの、その先どうフォローすれば
ああ、私の悪い癖だ、考えないで行動に移して。
「ありがとう…」
そんな根も葉も無いフォローにも、励まそうとしてくれたと感じお礼を言う絆。
作り笑いを浮かべるもその表情は薄暗く。
それから彼は再び元の暗い表情に戻り、深いため息を付く、んもうっ
でも彼自身認めていた、自分の大好きな絵にさえも興味を持てない程、活力を失って
いる事を…。
「はぁ…」
一体本当にどうしたと言うのだろうか、私はもう限界が来た。
「ねぇっ!ホントにどうしたのさっ、らしくないよ!」
「杏…」
「悩みがあるなら聞くよっ!」
「…それは」
「昨日の事ならもう良いよ!そりゃー少しムカついたけどさ!でもそれ以前に気になるのよ…、私何かしちゃった?此間の公園で言い過ぎたとか…」
「それは、無いよ…アレは僕の事を思って言ってくれた事だし…」
「なら、予定があったの?私の知らない所で、デザインの依頼があってそれを知らず私が
ノコノコ部室に入ってきたから…」
「依頼なら最近無いよ」
「なら!一体どうしてよ!何で、私を避けるの?そうやって落ち込むの!」
「あ、杏…」
思いのほか、昨夜まで溜まっていた物をぶつけ。黙り込み、顔をそらす。
「絆…」
そして私は、静かに口を開け
「私の事…嫌いになったの?」
!!
そう言った途端、目を丸くし突然こっちへ振り向き。
「ちがう…」
「へ?」
「それは無いっ!どうして君を……僕は、君の事が好き、大好きだよっ!」
「それなら…」
「そうだぁ、ねぇっ!これからゲームセンターにでも行かない!?」
急に話を切り替える彼、話を逸らすなと反論しようと思ったケド、グイグイ攻めてきて
私自身、それで彼の気持ちが晴れるなら、これ以上暗い話は止めにし、彼の提案に乗って
あげる事にした。