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命令チップ04
【SF その他小説】

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一週間-2


人通りの多い所を走れば、逃げ切れると思っていたが、

振り向くとガタイの良い男二人が追いかけて来る

「ちくしょー これじゃ道作ってる僕のほうが不利だ」

人々をかき分け逃げ続けながら時計をみた。

なんと一週間経ってる!

おかしいスイッチが出てきてもおかしくないのに!

やはり不良品なのか

「やばい、追いつかれる」

直線じゃ駄目だ、路地裏、路地裏、あった!

角にある標識をつかんで路地裏に逃げ込んだ。

「あ!」

行き止まりだった。

「ヤバイ」

振り向くと男二人が仁王立ちしてた。

周りに逃げる場所などない。

「くっそー」

やぶれかぶれで男達の間を通り抜けようとしたが、

あっさり跳ね返されてしまった。

その向こう側に胸押さえて息苦しそうに影山が現れた。

「にげあし……だけは……はやいな……おまえ」

ゼェゼェ言ってる。

影山は息を整えると男達の間を通り、僕の前にきて、

「俺に何したんだよ、体がかゆくて困っているんだよ」

掻きむしってカサブタになってる腕を見せてきた。

(拒否反応か?)

よく見ると大きな斑点が無数にある。

「し、しらないよ」

「知らないわけないだろ、お前”一週間後まってろ”っていったよな、どう云う意味だよ」

「い、言ってない」

「言ったよ、それとも命をかけて俺に触れたかったのか? 何をしたんだ」

「知らない! ゲフッ」

横の男に殴られた。

「教えろ、教えてくれたら楽に殺してあげるよ」

影山の顔の斑点が大きくなった様にみえた

「影山、あんたその力の使い方を間違っている」

「今はそんな話をしてるんじゃないんだよね」

「人を操っても殺しはダメだ」

ムッとした影山は

「殺しなんかしていない、あれは集団飛び降り自殺だ」といいのけた

「あんたが、その力で操ったんだろうが」

「お前知らないのか? 人間ってのは意思がある、
 命にかかわる催眠は効かないんだよ、
 飛び降り自殺したってことは死んでも良いと思ってたんだろ?」

「何言ってる、それは命令チップだ、催眠じゃない、意思など関係ないことぐらい分かるだろ」

そう言うと、影山は急に真剣な顔をして僕をにらみ

「お前本当に、この力の事、知ってるんだな」と言った

「し・しっているよ、だから……」

「だから、弱点も知ってるわけだ、なるほど、翻弄されるわけだ」

「そうだ、だから殺人などやめろ!」

「殺人? 殺人とは言わない、俺は、いつでも、どこでも、だれでも
 舌を切って自殺することだってできるんだよ、それは!」

影山は顔を近づけて

「俺が神だからサ 神にとって人など、床にばら撒いた米粒の1つにすぎない、何個無くなっても気にならないんだ」

目が喜びに満ちている

「異常だ……」

「お前も神だったから分かるはずだろ、ところでお前は何で力が無くなった?」

「それはある日突然無くなったんだ」

正確にはメールが来て消えた

「それを信じると思うか、俺につけた物が力を消すためのものじゃないのか?」

「それは違う、消す方法など知らない」

「ならなぜ、お前は力を知って弱点も知っている、
 そんな奴が命がけで仕掛けたものは何だ! 言え!」

影山の斑点が更に大きくなって見えなくなってきた。

「それは、今に分かる」

「なんだと! やっぱり何かしたんだな」

男二人に掴まれ、影山と対峙しているこの路地裏に、女子高生二人が入ってきた。

彼女達は無言で近づき、影山の後ろに立つ

「言え、言わないと彼女達が死んじゃうよ」

言い終わると同時に二人の口から血が流れる。

そして舌が地面に落ちた

でも彼女達は無表情で僕を見てる。

「うそだろ、やめろ」

嬉しそうな影山は

「スイッチオフ」と言った。

途端に女子高生達が首をかきむしり苦しみだす。

「何してんだよ、血を止めろ、お前なら出来るだろ」

「もう遅いよ、それより俺に何した? 言え」

「いい加減にしろ、離せ、離せ!」

もがいている女子高生たちは1分もせずに動かなくなった。

「あわわわ……し、しんだのか? うそだろ」

「あーあ、お前のせいだな、言えばいいのに」

影山の後ろにサラリーマンが口から血を出して立っている。

「おい、もうやめろよ」

「俺に何したんだ?」

「言うから、その人は助けてやれ」

「言うのが先だよ」

サラリーマンは苦しみだす。

「分かった、命令チップを付けたんだ」

「そうするとどうなるんだ?」

サラリーマンの動きが激しくなる

「もういいだろ、助けてやれよ」

「どうなるか言え!」

「あんたを操る事ができる、もう死んじゃうよ」

「なんだと! 俺を操るのか!」

「そうだよ、早く助けろ!」

「俺を操って何をする気だよ」

サラリーマンも動きが止まってしまった。

「まただ、やめてくれ」

「信じられない、俺と同じ力を使える様にする物があるのか……」

「影山、ゆるさないぞ」

「じゃあ 最後の質問、それはどこにあるんだ? お前が持っているのか?」

影山の後ろからベビーカーを押した母親が来た。

「いい加減にしろ、話したじゃないか!」

「心配するな、赤ちゃんには歯が無いよ」

「あんた、許せない」

「では質問の続き、それはどこにあるんだ?」

「……それは、」

「それは?」

「それは、あんたの体の中だ!」

「はぁ? ふざけるな!」

影山が母親に手をかざした、手に斑点はない

「本当だ!やめろ」

影山の手から黒いチップが落ちると同時に、

僕の頭の中にスイッチが現れる。

「スイッチオン!」


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