目覚め-2
そうだ。
「僕は、いつからか、美羽を妹以上に思ってたんだよ。だけどそれを認めちゃダメたって、気持ちに蓋をしてた。 美羽の彼氏に対して黒い感情が沸いてたし、美羽がこれ以上他の男に触られるのは絶対に嫌だ」
僕は、美羽に真っ直ぐ視線を向けて、
「僕は美羽のお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんは嫌なんだ」
今までずっと言えなかった気持ちを美羽に伝えた。 すると、美羽は、
「私だって…ずっとずっと冬也が…好きだよ…」
涙で瞳をキラキラと輝かせ、僕を真っ直ぐに見つめ返してくれた。
「ありがとう美羽…僕も美羽が好きだよ」
美羽に告げると、
「もう、哀しくないからシュークリームはいらないや… 」
泣きながらそう言って小さな笑みを浮かべた。
「じゃあ僕が三つとも、全部食べるよ?」
美羽の髪を撫でて、悪戯混じりに笑みを返すと、
「むぅ…ひとりで三つもズルいじゃん。やっぱり私も食べるぅ」
「うん、二人で美味しく食べよう」
泣きながらシュークリームをやけ食いする美羽はもう見たくないから。
二人で笑って。 心からそう願った。
僕は美羽にゆっくりと唇を重ねて、美羽の中へと。
「ぁあっんっ!! と…うや…ぁ…」
「美羽…好きだよ…」
深くひとつに繋がるように、美羽の中に身を沈めた。
それからひと月余りが経ち、美羽は大学を終えて今日も僕のアパートへ帰宅して、こたつの中で眠りながら僕の帰りを待っていた。
テーブルの上には見た目ちょっと残念な美羽の手作りの二人前の夕飯。
僕の手には、通勤用の鞄とコンビニの袋。 中にはシュークリームが三つ。
「…美羽、ただいま」
声をかけても、反応は無し。
今日はすんなりと起きるかい? 眠り姫?
僕は、小さく笑みを浮かべて、美羽の曖昧な寝顔を見つめてコートを脱いだ。