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forget-me-not
【女性向け 官能小説】

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いい女でいさせて-4

「……いらないわよ」


すると、恵ちゃんの口から出たとは思えないほどの低い声が聞こえてきた。


見れば、恵ちゃんは涙をポロポロ溢しながら陽介を睨み付けている。


腕越しに、陽介の身体がピクッと反応するのが伝わった。


「もう、荷物も陽介もいらない! やり直したいって言ったけど、取り消すよ。あんたには一番理解してくれるくるみさんがいるんだから、これからはくるみさんと付き合えばいいじゃない! こんなワガママでやきもちやきなウザい女よりよっぽどうまくいくでしょ!」


捲し立てるように喋るその姿に、思わず身体が強張った。


真っ赤になったその目からはもはや憎悪しか感じ取れず、背筋に冷たいものが走る。


あたし、してはいけないことをしてしまった……?


「メグ……」


「くるみさんは美人だし、陽介にはお似合いだよ? もともとあたしみたいな平凡女には陽介は不釣り合いだったんだよ。あたしは……優真先輩みたいなちょっと地味だけど優しい、そういうタイプが元々好きだったんだし」


張り詰めていた糸が切れた恵ちゃんの口から知らない男の名前が出てくる。


元カレ……だろうか。


そう考える間もなく、絡ませていた腕を振り払う陽介。


そして、迷わず恵ちゃんの手首を掴んだ陽介に、あたしは目を見開いたまま固まってしまった。


白くなるほど握りしめられた恵ちゃんの手首。眉間にシワをよせる彼女の顔が目に入った。


「痛っ……! 何すん……」


「なんでアイツの名前が出てくんだよ」


恵ちゃんの言葉を待たずに焦った口調で詰め寄る陽介。


そんな様子に怯んだのか、目を反らす恵ちゃん。


あたしだけが蚊帳の外になっていた。


「陽介には関係ないでしょ」


「いいから言えよ」


冷たい声でそう吐き捨てられても、怯まない陽介の横顔に、うっすら汗が滲んでいる。



それを見た瞬間、胸がズキンと痛くなった。








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