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forget-me-not
【女性向け 官能小説】

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いい女でいさせて-5

あの陽介が感情を剥き出しにするなんて……。


そう言えば陽介は、あたしに対して怒ったことなんてなかったかもしれない。


いつもヘラヘラ笑って、飄々としていて、感情的な所なんて決して見せないで。


だけど目の前の彼の姿は、嫉妬で余裕がなくなっているダサい姿。


別れたくせに嫉妬する男なんて、きっと幻滅するはずなのに。


なぜかあたしは、そんな陽介のダサい姿を見て、恵ちゃんが心から羨ましくなった。


恵ちゃんの前でなら、そんな必死になれるんだね。


目の奥がジワッとしみるように痛んだあたしは、ギュッと瞼をキツく閉じて、長めの瞬きをした。


「陽介に振られて様子がおかしかったあたしを、優真先輩が気付いて心配してくれたのよ! 一番辛かった時に黙って話を聞いてくれたの!」


「え……?」


「優真先輩は、ちゃんと話し合いしろって言ってた。 自分の気持ちちゃんと伝えないと絶対後悔するからって。……でも、伝えた所で無駄だったみたいね」


恵ちゃんの鋭い視線がこちらに向けられ、あたしは目を逸らすことしかできない。


あたしは、恵ちゃんに勝てなかった。


卑怯な真似をして二人の間に亀裂を入れて、無理矢理陽介を手に入れようとしたけど、完全にあたしなんて眼中になかったんだ。


隣で何も言わない陽介の顔を見るのが怖い。


恵ちゃんに切り捨てられてヘコむ陽介なんて見たくない。


下唇を噛んで黙っていると、恵ちゃんの涙声が少し抑えたトーンで聞こえてきた。


「あたし、ホントに陽介が大好きだった。誰にも渡したくないくらい。……でも、もういい。諦めるから、サヨナラ」


恵ちゃんはそれだけ言うと、ドアをパタンと閉めた。


「あ……」


追いかけようと、陽介の手がハンドルレバーを握ろうとしたけど、そのまま力なく元に戻る。


静まり返った空間に、バスルームでお湯が勢いよく溜まっていく音がやけに響く。


もう、溢れているかもしれないな。


溢れたお湯がそのまま排水溝に流れていくように、あたしの想いもどこかに流れていくような気がした。





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