赤玉伝説-4
『なんと面妖な事が…。お満、これは人には出来ぬ事ですぞ!何やら狐狸か妖(あやかし)が関与してるかも知れませぬ』
幽霊の身を棚に上げて、お敏が訝しそうに顔を歪めた。
「まさか母上、この世にそんな摩訶不思議が早々有るはずはございませぬよ。現実的なお満は摩訶不思議や妖は信じませぬ。これはただ単に助平な竿之介が自分でシコシコ扱いただけですよ」
『まあ、お満の言う事にも一理ありますか…』
今の状況を異常とも思わない無神経な幽霊の母親と、霊能に長けてはいるがそれに気付かない呑気な娘だった。
「とにかく起こしましょう。これ、竿之介起きなされ、竿之介、竿之介」
お満が幾ら揺すっても竿之介は目を覚まさなかった。
「母上、チョット様子が変ですよ…」
お満が心配の余りにオロオロしだした。
『お満、そんなに心配せずともよい。母は殿方の起こし方を知ってまする』
「へっ、それはどういった…」
お満の脳裏にある行為が浮かんで不安になった。
『昔、お早世に聞いた事が有りまする。お満には少し言い難いのですが…』
「言わなくていいです。お満もそれをお早世叔母様に聞いて知っておりまする。ですが、昨日、竿之介に試しても一向に効かなかったのですよ」
『それは真か?そなたの父、棒太郎どのはいつも一瞬で目覚めましたぞ』
「げっ…」
棒太郎のイチモツをむしゃぶりつくお敏の姿を想像して、お満はゲンナリした。
『まあ、もう一度試してみなされ』
「姉であるお満がそれをしてもいいのですか?母上、叱りませぬか」
『いいじゃないの。別に悪い事じゃなし』
「思いっきり人道に外れた悪い事だと思うけど…。しかし、母上は性格が変わりましたね」
『だって、あんなにいい物を知らない内に死んじゃったんだもの。もっと色々やっとけばよかったと考えるようにしたのよ。弟とするのも興奮していいかもよ♪』
母親の台詞とは思えなかったが、何故かお満には説得力が有ったようだ。
「では、いたしまする」
お満は意識の無い竿之介の寝巻を肌蹴て、竿之介の肉棒を晒した。
「ひっ、母上、これは何ですか」
お満が驚いたのも無理は無い。精子まみれの竿之介の肉棒の鈴口の先に、半寸(16mm)程の赤い玉がくっついていたからだ。
『ひえええ、そ、それはいけませぬ、いけませぬぞ!』
「は、母上、どうしたのですか?これは一体なんですか?」
お敏の慌てようにお満の心配が膨らんだ。
『お、お、落ち着いて聞きなされ、これは赤玉にございます』
「それは見たらわかります。これがどうしたのですか?」
『これは、殿方の精が尽きた事を示す人には見えない印です。殿方が最後の精を出すとこれが出てくるのです。若い竿之介が何故これを…』
「ひえっ、ならば、竿之介はもう勃ちませぬのか?それに何故にお満にそれが見えるのでしょう?」
『これが出たらもう勃ちませぬ。お満に見えるのはそなたの頭が軽いからです』
「どうしたらいいのですか?何か方法は有りませぬか」