二人の罪-9
「いやー、今回の映画はイマイチやったなぁ」
両手を後頭部に置き、ゆっくりとした足取りでロビーへ出る楓サン。
その隣で肩を並べるも、明るい彼女とは正反対に暗く、首を下ろし、目線を先ほどから
床に落とす、しゅう。
「東映ブレンドに騙されたねぇ、やっぱこう言うのはしっかり自分の目で面白いか否かを
判断しなきゃ駄目だね…」
あからさまに、しゅうに話を振っているのダガ、先ほどから反応の無い彼に
「…ねぇ!聞いてんの!シュガー!」
「……えっ?あぁゴメン何?」
頬を膨らませムスッとし
「何よーさっきからー、上映前も私の話も聞かんとケータイばっかいじってー」
「…それはぁ」
「…ねぇ!この後たこ焼きでも食べない?」
話の切り替えは、彼女の特技のようで、目をキラキラさせ彼を誘うも
返ってくる返事は
「でも、もぅ暗くなるよ…そろそろ帰らないと」
と言ってもまだ時計の太い針が4を指しており、普段なら暗くなってもお構いなく
ゲームセンターやショッピングを楽しむのダガ。
楓サンも、彼の言う事の意味を察したか、怒り肩で急に出口の方へ足をツカツカさせ
「ちょ、どこ行くの?」
「何って、帰るのよ!…自分でそう言ったジャン!」
彼女の突然の行動に、慌てた彼は、彼女を引きとめようと腕を伸ばすも
「ついて来ないでぇ!、私一人で帰るからぁ!」
楓サンに怒鳴られ、動きをピタッと止まり、そのまま困惑する彼を残し映画館を後にする
「…楓」
「何よっ!あーあ、あったまくるわぁっ!」