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君を救いたい
【純愛 恋愛小説】

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二人の罪-8

下校のチャイムが鳴り、次々と、クラスの人たちが教室を出てゆき
私は、玄関の所で足を止めた。

「しゅうっ!」

履いた外靴で、先を床に叩き付け、何事も無く扉に足を運ぶしゅうの背中に声を掛け
その声が耳に入り、首を反対方向に曲げ、私に視線を映す。

「おっ、樹里奈!」

私の姿を確認し、ふいにニコッ、と微笑みそんな彼を見て、私も何だか少し幸せな気分に
なり…。

「どうした?君も帰るの?」

外靴を床に置く私に声を掛け

「うん、しゅうは…今日は部活?」
「まぁね、少し体が弛んじゃったカラ…」

無邪気に笑う彼に、私は本来の目的を果たす。

「…ねぇ、部活が終わったら、その…私と映画館にでも行かない?」
「!!」

可笑しな事を言ったつもりは無い、でもその誘いをされたしゅうは、急に顔が凍りつき
他のクラスメートが次々と外に向かっていく中、彼は少し間を置き、渋い顔つきで
無意味に少し汚い床に目線をやり。

「…ゴメン、部活終わった後、ちょっと用があるんだ。」
話したくない事を、しぶしぶ口に出してきて。

「用?何…、あっオバサンにお使いを頼まれたとか…。」

そんな筈は無い、ただ嫌な予感がして、はぐらかす私を無視して、静かに口を開く。

「…映画館には、別の人と行くつもり。」

別の人…、気持ちの優しい彼なりの言葉のセレクト、ダガ察しの良い私にはそんな彼の
気遣いは一切通用せず、思わず。

「楓サンね…。」

こんな事、いちいち言うべきでは無い、でも私の彼への思いが勝手に口を開いて
暗いトーンで言う私に、彼は目を丸くし。

「おいっ、練習とっくに始まってるぞ!」

そんな会話の最中、見慣れたしゅうの所属するサッカー部のユニフォームを身に纏った
男子が、何時まで経ってもグラウンドに来ないしゅうに、声を掛け。

「ゴメーン!今行くーっ!」

役目を終え、早々に玄関を後にする部員の走る背中に声を掛け
別に助け舟が来た訳では無いが、そのまま私から距離を放れ。

「…こんな俺で、本当にゴメン、…でもこれからも君の事は応援するつもりだから」

名残惜しそうにそう言い残し、玄関を後に急ぎ足で去っていく。


……分かってた、こうなる事は

でも春華が勇気付けてくれて、何より大好きな彼の事を思うと

……

あーあ


ばっかみたいっ!!





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