投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

君を救いたい
【純愛 恋愛小説】

君を救いたいの最初へ 君を救いたい 46 君を救いたい 48 君を救いたいの最後へ

二人の罪-13

「しゅうっ!」

「母さんっ!」

そこに、ベットの上で頭に包帯をした母さんの姿があり
俺は無我夢中で、母さんを思い切り抱きしめた。

「…うっ…ううっ、母さん、母さん…無事だったんだね」

「えぇ勿論よ」

どうやらデパートに行っていて、そこでうっかり階段から足を滑らしたものの
6段目くらいの低い位置からだったので、実際には背中と頭を少し打っただけの様で
普通に今日中に退院出来る程度で、先生も慌てて聞き間違えたのだろう、全くいい迷惑だ

大粒の涙を流し、震える手で母さんを抱きしめる俺を見て、母さんも何処か複雑な表情をする。母さんも事故に遭い病院に送られるまで色々と想ったのだろう。

息子が心配する、早く無事を伝えたい…と。

「ゴメンねしゅう…、心配を掛けて本当に、私なら大丈夫、ホントに軽く打っただけ」

そう言って、活発的に両腕を上げ下げさせ。俺もその姿を見て、心底ホッとし、ここに
来てようやく笑みを作る事が出来。

「貴女が尽いて居てくれたの?」

ひと段落し、ドアの近くで立ってる樹里奈の方に目線を移し。

「…私はただ、彼の様子が可笑しいから勝手について来たダケです。」

大人びた声で、軽く謙遜する…勝手について来たダケにしては大いに助かった
いや助かったとかそういうレベルの問題じゃなかっただろう、彼女が居なかったら
樹里奈が傍に居てくれなかったら…俺は、俺は今頃……。


それから母さんは、軽い退院手続きを済ませ、俺と母さんと樹里奈と3人で病院を後にし
母さんは「病院は大袈裟ね」などニコッとと愚痴を零し、先ほどまでの恐怖が嘘の様に
晴れて。


樹里奈の家との分かれ道で、樹里奈が母さんに軽く挨拶し、俺には

「もう大丈夫?」

それは、先ほどまでどんな思いで、自分の母親の安否を心配したかを全てを理解した上
での言葉、それに対し俺も

「うんっ!ありがとう……本当に。」

途中、涙が出そうになり、地面に首を下げる。


それから夜、ようやく帰ってきて母さんの事故を知った父さんと姉さんは驚き
「大丈夫?」の心配の声が絶えず。

就寝前、眩い月を眺め、目を潜ませる

「あら?眠れないの?」

ドアが半開きで、実はまだ自分の事で心配してるんじゃないかと俺の部屋に入ってきた
母さん。

「いや、まぁ」
「ひょっとして、まだ私の事、心配してるの?」
「まぁ心配なのはそうだけど、母さんがそこまで元気そうなら別に」

「なら何か悩み事?」

それでも心配な母さんは、俺の居る窓の方にゆっくりと寄る。

「…正直、今日は大変だった、母さんが事故った聞いたときは…もう。」

息子の言葉にハッと顔を引きずり、「やっぱり」と言わんばかりに首を下ろし。

「ホント、樹里奈が来なかったら、俺は今頃」

「しゅう…」

「それほど彼女は、貴方の事を心配し、貴方の事情を知った上で、そこまで」

そうだ、今にして思えば俺の為にどんだけ息を切らし、病院までついて行った事か
母さんはそれから俺の迷える想いに、一押しする。

「こういう時にこそ、お互いを本気で想いあえるのが、本当に自分にとって大切な人
…何でしょうね」

俺は、その言葉にハッとし、「おやすみ」と微笑む、半開きのドアを閉めた。

本気で…想いあえる。


俺は、決意した。



君を救いたいの最初へ 君を救いたい 46 君を救いたい 48 君を救いたいの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前