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クラスメイトはスナイパー
【コメディ その他小説】

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スナイパー〜二匹の小鳥〜-3

閑話 休第
この学校には、まいってしまうほど厄介な規則がある。
それは文部省から天下りしてきた校長が無い頭を使って考えた、その名も『全生徒部活加入制度』だ。
校長いわく、部活を通じて健全なる青少年の体と心を生成させる……と言うことらしいが、ホントのところは天下りしてきたはいいが、やることがないのでとりあえず考えた制度といったところだろう。
そして、そのはた迷惑な制度のせいで僕はこの部に入る事になったのだ。
『幽霊部』
各部で活躍できずにはぶった者や、部活に入ったはいいが幽霊部員になった者、はたまた『危険人物』というレッテルを貼られ、各部をたらい回しにされたあげくに送られてきた者……と正に千差万別、十人十色である。
活動内容は……なんだろう?よく分からない。


「良しっ!じゃあ部活を始めるぞ」
丸めた教科書をパンっと教卓に叩きつけ、一人の女生徒が高らかに豪語した。
スラッとした細身の高い身長、窓から差し込む夕日に照らされ色白の肌がより一層綺麗に映えている。
細い切れ長の目付きと、左右対象なシンメトリーの髪形が印象的な、この女生徒こそ『幽霊部』の首領(ドン)であり僕や烏丸、可奈子と同じ三年の近藤 桜子だ。
学園内でも1、2を争う成績と頭の持ち主であるにも関わらず、噂では生徒会を裏で牛耳っているとか、幼子(おさなご)を誘拐して、あんなことやこんなことをしていたなどと……とにかく噂の絶えない人物だ。
とてつもなく頭のキレる奴だが、全く人の意見を聞いてくれない、僕を悩ませる悩みの種でもある。

「首領、大変です。私のジュースがありません」
桜子が言い放った部活開始の合図を見計らったかの様なグッドタイミングで、沖田 まひるが声を荒げた。
沖田は僕より一個下の2年生である。丸い瞳に、くるくると変わる表情、綺麗に切り揃えられたボブカット、そして小学生と見間違ってしまう程にミニマムな身長。
学園内のマニアなお方達がファンクラブを作ってしまう程に……『童顔』だ。
沖田はここに来る前はサッカー部でマネージャーをしていたのだが、いかんせん彼女は……『童顔』なうえ『ドジ』な為、サッカー部からここに推薦状と共に送られてきた。
言わば厄介払いされたのだ。

「うむ、落ち着け、まひる。まずは現状確認から入ろう」
桜子は、右の手に持っていた丸めた教科書をビシッとまひるに突き付けた。
「了解です、首領」
満面の笑みで敬礼のポーズをとる、まひるに目をやり、うむといった感じで頷いた桜子は次に僕に目を移した。
「時に斉藤、少し君に物申したいと言うか尋ねたいことがあるのだが……」
「なに?できるだけ僕の答えられる範囲で頼むよ。あまりに難解な質問とか破廉恥(ハレンチ)な質問は、僕も人間として黙秘権を使わせてもらうよ」
僕の返答に対し桜子は、目を細めながら僕を凝視した。

「阿呆(あほう)ここは法廷ではないだろう。君に黙秘権を使わせるほど僕が恥辱で凌辱的な質問をすると思うかい?」
言い終わった後、両の手を横に広げ、やれやれと言ったふうに顔を横に振る桜子。
「少なくとも顔だけ見ればそんな質問はしないと思うけどな……」
そんな桜子と僕とのやり取りを黙って見ていた山南 潤が不意に口を開いた。
山南に対しては、『危険人物』というレッテルを貼付けられ、各部をたらい回しにされたあげくの果てにこの『幽霊部』に送られてきたという謎の多い男子生徒だ。
紙面上では3年ということになっているが、噂によると2年ダブっているという話もある。
短く刈り込んだ茶髪にピアス、鋭く尖った目付きと一見すると明らかなヤンキーだが、性格は柔軟性のある奴なので人畜無害であるといえる。最もヤンキーだったとしても、この『幽霊部』では確実にキャラ負けして、全く作者が登場させてくれないといった悲しい状況になってしまうのであろうが。
ん、作者?まぁいいか。
「おお、山南が口を開くとは珍しいな。僕はてっきり君の口角の筋肉は伸縮性が全くない噛みこんだガムの様な硬さで、動かないとばかり思っていたぞ」
唯一、一人だけ楽しそうな桜子をイタイ目で見る『幽霊部』の面々。


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