好き、だけど・・-1
「樹里奈?・・」
長い茶髪の少女が、その髪をなびかせ、俺に気づくこと無く、通り過ぎて行く。
その光景を、目にした俺は、どんどん小さくなって行くその少女の背中を、無我夢中で
追い掛けると
俺が、彼女の肩を、掴もうとする前に、彼女の母親らしき人が現れ娘に話しかけると
母親の言葉に、反応して振り向く彼女の横顔は、俺の知らない顔だった
「あ・・・」
ふいを衝かれ、肩を叩く筈だったその手が固まり、その樹里奈に似た少女は、その母親と
共に、何事も無く普通に奥へ歩いて行った・・。
一気に力の抜ける俺
「・・どうしたの、しゅう?」
母さんの買出しに付き合いも、ふいに居なくなり、心配して探しに来た様だ。
軽く勝手に放れた事を詫び、どうしたのか、訪ねるも「何でも無い」とはぐらかし、頭に
?マークが浮かぶも、再び笑顔で、夕飯のおかずとなる材料の乗ったカートを押し、俺も
普通にその後を追う。
樹里奈・・
君は今も、生死の境を彷徨っているのかい?
寂しくないかい?・・苦しくは無いかい?
俺は、樹里奈と居た楽しい日々を、思い返す
・・樹里奈
・・俺は、俺は・・・・。
「はっ!!・・」
我に帰る
そう、そうだよ・・
彼女は・・もぅ居ないんだ、俺の頭の中で、完全に消去したんだ
何してんだろう・・・俺。