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君を救いたい
【純愛 恋愛小説】

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樹里奈を消した-9

「ふぅ・・」
俺は一呼吸入れて、ゆっくりと彼女の問いに答える

「あぁ、その通りだよ・・綾辻さん」
「!!っ」

俺が開き直ったと思い、顔が一気に険しくなり

「確かに君の言う様に、俺は君を利用していたのかも知れない、あの日彼女蓮見樹里奈と
もう二度と会えない・・面会謝絶の札を目にしたあの日から俺は光を失い何をするにも
やる気が出なく、見るもの全てが暗く感じ、・・時より仲の良いカップルを見て
「事故って植物状態になればいいんだ」って嫉妬の業を燃やした事もあった・・」

「・・でもそんな中、君が転校してきてそして知らぬ間にここまでの関係になった時
俺はとても気持ちが楽になった・・、君といる時だけ彼女の存在を忘れられ楽しい一時を
過ごす事が出来た」

「・・じゃーやっぱり・・私は・・」
彼女の瞳が次第に涙目になり、片手で胸を軽く掴む

「ダガ、君は一つ勘違いしてる!」
「えっ?」

真剣な眼差しで彼女の元へ寄り

「彼女樹里奈は・・もう元には戻らない」
核心は無い、だが彼女のあの様子、医師からも回復は絶望的と診断された事から・・もぅ

「だから樹里奈とは事実上『別れた』んだ、回復の見込みが無い人を何時までも希望を
抱く筈が無いから・・」

「佐藤・・くん」

「残酷な言い方なのは分かってる、でも何時までも気にかけたって仕方が無い・・から」

「きっと樹里奈だってそれを望んでる筈だ」

我ながら酷い責任転換だ、樹里奈に責任を押し付けて

「じゃー今こうして私と付き合ってるのは遊び何かじゃ」

「うん・・、これからは新しい人生を歩むつもりだ、その為に君と・・」

「・・でも、何だかまだ信用出来ないよ、そんな簡単に」

今だ疑惑が残る綾辻さん、頬を赤く染め今度は彼女が目を泳がせ

「私は・・私はっ!」

うろたえる彼女に近寄り、俺は


!!?・・・・

漆黒の闇に包まれる静寂な公共施設で


俺は


目の前に居る自分を絶望の淵から救ってくれた


俺の可愛い女神に


慈愛溢れる口づけを交わした・・


あ・・あ・あぁ・・しゅ・・シュガーく・・ん

「しゅう・・だよ・・楓」

「!!」


こうして俺は・・俺の中でかつて不幸のどん底にあった自分を身をこにして救ってくれた
蓮見 樹里奈を消し、目の前にいる明るい少女「綾辻 楓」と共に新しい人生を歩む事
にした・・


場合によっては史上最低の二股男と思われるかも知れない・・

それでも

俺は・・俺はっ!


続く





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