割り切った身体、割り切れない心-14
「へへ。くるみの中、大洪水」
「いやっ……ああん」
「さっきの弱点に当たってんだろ? 中がヒクヒクしてるぜ」
「やっ……ああっ、そん……なあ……」
「ホラ、いっぱい鳴けよ」
「ひゃああんっ……!!」
意地悪な言葉を吐いて、意地悪な顔であたしを見下ろす陽介。
でも、しっかり抱き締めてくれる腕やあたしの頬や髪を撫でる指から優しさが伝わってくる。
そのせいか、あたしの身体はどんどん大胆に陽介を求めていく。
あたしの身体だけじゃなく、心まで裸になれたような気がして、恥ずかしさも屈辱どころかスパイスとなってあたしの気分を昂らせた。
一つになってこのままドロドロに溶け合いたい。
身体の中心を突かれながらも陽介のキスを求めていると、あたしの身体にまわっていた腕がそっとあたしを抱き起こした。
向かい合って陽介の上に乗る形になると、彼はコツンとおでこに自分のそれをくっつけてきた。
「ホラ、相性いいだろ?」
対してあたしは小さく頷くだけ。はっきり言って余裕なんてもうなかったのだ。
「はっ……、あぁ……あたし……も……限……界」
対面座位になっても下から突き上げられるとたまらない快感が突き抜けて、あたしは二度目のアクメを迎えるところだった。
陽介の胸にコテンともたれ掛かりながら、されるがままに揺さぶられていると、彼はあたしの髪を撫でてから耳元で囁いた。
「んじゃ一緒にイこうか」
「陽……介……」
「実は俺も限界。お前ん中、気持ちよすぎてやばい」
へへへと笑う陽介の顔を見上げると、こんな時なのにやたら無邪気に笑う。
そんな陽介が可愛くて、愛おしくて、たまらなく欲しくなった。
「ん……陽介……きて……」
あたしがそれだけ言うと、あとは互いを求め合うただの男と女になる。
この一時だけは、スグルのこととか、陽介のカノジョのこととか、あたし達が一線を越えたこととか、そんなことは全てどうでもいいことになっていた。
二人で絶頂を目指す、それだけだった。
激しさを増す陽介に、あたしは必死で食らいついていく。
そして――。
「ああ……っ! いやあっ……イクッ、ああああっ……!」
身体を仰け反らせて臨界点を越えたあたしは、そのまま陽介の腕の中で力尽きた。