エピソード2-1
「確か、この辺りだったような・・・」
咲は、達也の紹介で、慎吾の撮影スタジオに向かっていた。
「あっ、ここだ!!」
そこは、閑静な住宅街の一角。
塀で囲まれた、いわゆる豪邸だった。
「こんな立派なお屋敷がスタジオ?」
表札には、(新井)と書かれてある。
インターホンを鳴らすと、
「どうぞ」
と言う返事と同時に、門の鍵が開錠され、中に導かれた。
玄関に入ると、そこは咲が今まで見たことのない、洋館の造りで、屋敷事態がスタジオの様だった。
「すっ、すご〜い・・・」
思わず、言葉を失いかけた時・・・
「咲ちゃんだね?いらっしゃい」
と、この撮影スタジオの主催者、新井 慎吾が現れた。
「初めまして、若林咲です。木崎さんの紹介で伺いました。よろしくお願いします。」
「先輩から連絡は、貰っているよ。」
そう言って、咲を応接室に招く慎吾。
「一応、面接をさせて貰うけど、良いかな?」
「お願いします。」
「身長は?」
「150pです。」
「スリーサイズは?」
「上から、86のD、56、87です。」
「スタイル良いねぇ。」
見た目でも分かった。
今日の咲の私服は、チビTのデニミニ。
身体のラインが、手に取るように分かる。
今どきの女の子らしく、脚も長い。
しかも、ニーハイを履いているので、街中では注目の的だったに違いない。
「達也先輩から聞いていると思うけど、俺の所は、水着・着エロがメインだけど、大丈夫?」
「はっ、はい・・・」
咲は、その言葉に緊張した。
確かに、今までにも、そう言う撮影はして来たけど、メインとなると、やはり勇気がいる。
「そうしたら、今からカメラテストをしたいから、この水着に着替えて貰える?」
そう言って渡された水着を見て、絶句した。
ほとんど紐みたいなマイクロビキニだったのだ。
「こっ、これにですか?」
「そうだよ。俺の所のスタンダードが、その水着だから。」
「でも・・・」
「ギャラは、弾むよ。」
「・・・」
咲は、その言葉に弱かった。
達也に相談をして、紹介して貰ったんだ。
達也の顔を潰す訳にもいかないし、何より稼げる。
勇気を奮って着替える事にしたが、足りない物が有る事にきずく。
「あのぉ・・・」
「何か?」
「アンダーウエアは?」
そう、普段の撮影会では、水着や下着の撮影時には、乳首には二プレス、下にはアンダーウエアを着用していたのである。
この紐の様なマイクロビキニでは、見えてしまいそうで不安である。
「俺の所では、そう言ったものは着用しないで貰うよ。」
「えっ!?」
「聞いてない?かなり際どい衣装を着てもらうって?」
「聞いていましたけど・・・」
咲は、愕然とした。
まさか、ここまでとは思っていなかったのだ。
「無理です・・・」
「お金、欲しくないの?」
「それは・・・」
「それじゃあ、その衣装に着替えて。」
「はい・・・」
「更衣室は、ここだから」
そう言って、連れて来られた場所は、ベッドルーム。
まるでお姫様が使うような豪華な造りをしていて、咲は驚いた。
(凄くかわいい・・・)
「着替え終わったら、声をかけて」
そう言って、慎吾は、退室していった。
「どうしよう・・・」
咲は、まだ戸惑っていた。