どっちつかずの気持ち-18
ピンク色のネオンがギラギラ光る怪しい裏通りを通り抜け、再び駅へと続く大通りに出る。
すると繋いでいた手は自然に離れていき、あたしと塁の間にわずかな隙間が生まれた。
そうして先ほど落ち合ったコンビニの前にたどり着くと、塁はあたしに向かって小さく手をあげた。
「じゃあ、またな」
「うん」
別れるときは素っ気ないけど、これがあたし達。
今までならそれが淋しく思っていたけれど、この素っ気なさにもいつの間にか傷みを感じなくなっていた。
あたしも塁に手を振り返すと、クルッと背を向ける。
そして駅へ向かおうと、カツ、とパンプスを一歩踏み出したところで、その歩みを止めた。
よく見慣れた顔が、まっすぐあたしの目に飛び込んできたのだ。
「……あ」
そこには立ち尽くした、と言った表現がピッタリといった、久留米さんの姿があった。
彼が、一瞬鋭い目つきでこちらを睨んだような気がした。
けれどそれは見間違いだったのか、すぐにいつものように少し微笑むとあたしの元に歩いてきた。