投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

もう君に会えない
【大人 恋愛小説】

もう君に会えないの最初へ もう君に会えない 132 もう君に会えない 134 もう君に会えないの最後へ

どっちつかずの気持ち-17

塁を問いただして、彼の口から真実を知り、手放すのがふと怖くなったからだ。


……フェアじゃないよなあ。


久留米さんを好きになりつつあると自覚していても、この関係を断ち切れないのはあたしの弱さ。


多分副島主幹の話を聞かなかったら、あたしはこのまま久留米さんと約束した通り、だらしない関係を断ち切れたと思う。


でも、久留米さんの中にはあたしじゃない他の女の存在がいる。


それを知って、純粋に彼を想っていられるほどあたしは強くなかった。


久留米さんが時折見せる寂しそうな顔も、懐かしそうに目を細める顔も、みんなその同棲予定だった女の人に向けられていたんだ。


あたしは過去に、彼女がいる人を好きになって、結果略奪まがいのことをしたことだってある。


恋愛は弱肉強食、それがあたしのモットーだったけれど、死んでもういない女とどう戦えっていうんだろう?


負け戦とわかっていて、逃げ場もないまま久留米さんに飛び込む勇気なんてない。


そんな自分のズルさを知ってしまったから、あたしは塁に関してきっと寛容になれたんだ。


あたしは逃げ場を確保するかのように、繋がれた手にグッと力を込めた。




もう君に会えないの最初へ もう君に会えない 132 もう君に会えない 134 もう君に会えないの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前