目覚め-4
(ああん、ベル! 私はあなたの女。いいえ……ドーベルマンの、お犬様のメスですっ)
真奈美は手に握りしめたままのディルドーを股間に宛がうと、先端でヌメヌメと谷間をなぞり始めた。
さらに、もう一方の手を前から股間に伸ばすと、指先でクリトリスをグニュグニュと揉みしだいた。
「ああ、ワンちゃん、いい〜…… すご、すごい……」
クリトリスからの痺れるような刺激が下半身に伝搬し、脳天へと駆け抜ける。真奈美はたまらずよがり声を上げ、体を細かく痙攣させる。
「ああーっ、来て! いいの、思い切り突いてぇ」
真奈美はディルドーを思い切り股間に押し当て、より激しい快感を得ようとグチュグチュ掻き回した。
「ああっ、ああっ、あああ……」
気が付けば、愛液でヌルヌルになったディルドーは、その3分の2までが真奈美の中へ埋没し、いつの間にスイッチが入ったのか、ヴインヴインと音を立てて激しくうねり、振動していた。
「なっ、何これ、すごいっ! ひあっ!」
ディルドーの先端は子宮口に届き、ビリビリと振動の刺激を与え続ける。真奈美は無我夢中でディルドーを押さえながら体をよじらせ、悶絶寸前だ。
「真奈美! 出かけるから留守番お願いね!」
突然、下から母親の声が聞こえた。
「聞いてるの! 出かけるてくるわよ! お留守番!」
「はは、はーい!」
不意を突かれた真奈美は一瞬凍り付いたが、何とか心を現実に戻すと、あわてて返事をした。
しかし出た声は、裏返って擦れていた。
「いい? ちゃんと大人しく勉強していなさい!」
「はーい、わかりました」
「変な笑い声立てて。マンガばっかり読んでちゃダメよ」
「……はい」
いけない事をしている後ろめたさと、それを見透かされたような母親の言葉に、真奈美の心臓はバクバクと激しく高鳴り、思考は麻痺してしまった。
玄関の戸が閉まり、ガチャリと施錠の音が聞こえてからも、真奈美は暫く硬直したままだった。
(はあ……ママ、確かに出かけたわね……)
暫くしてようやく安堵した真奈美は、上半身を起こすとその場にドスンと尻餅をついた。
ニチュッ…… その途端、下腹部の辺りで何か潰れたような音がした。
(な、何ッ!?)
慌てて股間に手をやった真奈美は、下の口がディルドーを咥えこんだままだった事に気が付いた。
「やだっ、ズッポリ入っちゃってるっ……」
ディルドーはその全てが真奈美の体内に潜り込んでしまい、指で掻き出そうにも、なかなか出てこない。
無理に引っ張ろうとすると、まるで吸盤のように子宮まで一緒にくっついたまま引きずり出してしまいそうで怖くなった。
そういえば、ディルドーの先端が象の鼻のように平たく潰れた形をしていた事を思い出した。
真奈美は股間を気にしながらも、おずおずと部屋の窓から外を覗き、母親が出かけて歩いて行く姿を確認した。
(やった、いつも通りね。これでDVDが見られる!)
彼女はDVDを持って部屋から飛び出し、いそいそとリビングへと向かった。
――リビングには46インチの液晶TVがあった。そのTVにはDVDデッキがつながっているのだ。
真奈美は、TVとDVDデッキの電源を入れ、リモコンを操作してDVDデッキのトレイを開けた。
そしてドキドキしながらトレイへディスクを乗せ、再生ボタンを押した。
暫くして、DVDが再生されるはずだが、映ったのはTVドラマの画面だった。
「あれ、DVD、映らないな……」
真奈美は時々、股間に埋まったディルドーを指先で穿りながら、リモコンのボタンを色々と押して試した。
「あっ、映った!」
どうやらビデオ入力チャンネルの切り替えをDVDに選択する必要があるらしいことが分かるまで、10分程度費やしてしまったようだ。
DVDは既に何分か途中まで再生されていた。