気の置けない存在-6
物心ついた時から、あたしには同性の友達なんていなかった。
上履きを隠されたり、無視されたり。
あたしが女子にいじめられていた理由って、やっかみによるものなんだと、当時庇ってくれた男の子達が教えてくれた。
――くるみが綺麗だから。
――○○の好きな人がくるみだから。
そんな理由で、いじめられていたらしい。
あたしからすれば、全くもって理不尽な理由であり、それがまかり通るなんて絶対おかしいって思っていた。
それでも、いじめられている方は、自分を責めてしまうもので、少しでも受け入れてもらいたくて、こちらから下手に出て歩み寄ろうとしたり、目立たないように俯いてばかりいたり、今思えばプライドなんて皆無の惨めな行為を繰り返していた。
ただただ、これ以上嫌われたくなくて。
でも、そんな努力も陰険な女の前では無意味なもので、ますます扱いはひどくなり、パシリにされたりお金をせびられたりするようになった。
結局好転するどころか、悪化の一途を辿るこの状況。
そこで、ようやくあたしは学んだ。
女なんて、自分が一番可愛くて、自分より格下のモノを見下すことが大好きで、受け入れ難いモノはとことん排除しないと気が済まない生き物なんだってこと。
それからは、あたしは同性に媚びることを止めて、男の子と遊んだりするようになった。
だから、あたしの感性ってのは男性的になってしまったんだろうと思う。
陽介の不満を聞いて、カノジョに同調するか陽介に同調するかと言えば、必然的に後者になる。
気付けばあたしは、
「女って、彼氏もブランドのうちだからね」
なんて、冷めきったように言い放っていた。
「ブランド?」
「女友達に自慢できるような彼氏がいるってことが、ステータスになんのよ。お金持ちとか、イケメンとか、お洒落とか、いろいろあるけど」
実際自分もそういう自慢大会に巻き込まれたことがある。
まずは彼氏がいるかいないか。
いる側はいない側を見下し、次にいる側同士で自慢大会が始まるのだ。
彼氏の外見とか、友達の数とか、服のセンスに至るまで探り合っては、相手の大切な人のあら探しを常にして。
それに辟易していると、「お高く止まってる」と攻撃の矛先をこちらに向けて。
当時の女の子達の醜い形相を思い出して、あたしは小さい舌打ちを漏らしてしまった。