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LADY GUN
【推理 推理小説】

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加藤綾美の価値-8

 「加藤綾美失踪と婦警失踪が同じ犯人だと分かっててどうしてあんな指示が出るんでしょうね?信じらんないですよ。」
膨れっ面で言った若菜。
 「こういう事は良くある事よ…。署長や部長だって同じ気持ちだろうけど組織の中、指示には従うしかないのよ。私達が反抗したら逆に署長や部長を苦しめるだけ。上からの指示には従うしかないのよ。」
 「そんなもんですかねー。」
 「割り切るしかないわ?ねぇ若菜、自由ってどういう事だと思う?」
 「自由ですか?そりゃあ何の制約もなしに好き勝手に何でも出来る事じゃないですか?」
普通に答えた若菜。誰にも文句を言われずに好きな事をのびのびと出来るのが自由だと感じた。
 「違うわ?約束事がある元で限られた範囲の中で好きな事をするのが自由だと思うの。」
 「そんなの自由じゃないじゃないですか。」
 「いいえ?世の中には法律がある。私達がいくら自由だと思っても、法律の元での自由でしょ?若菜が言う自由は無法地帯での自由だよね?法律がないと言う事は、別に人を殺してもいい、犯罪をしてもいい、そんな中での自由よ?」
 「そりゃあ…確かに…」
 「だから自由って言うのは好き勝手やっていい事じゃない。約束事をきちんと守った上でのびのびとするのが自由なの。だからみんなの自由を守る為に私達警察はいる。そう思うのよ。」
 「みんなの自由を守る為…」
そういう名目には弱い若菜。正義感溢れる言葉に感じる。
 「みんなの自由を守る私達が約束事を守れなかったら世の中の人の自由は有り得ない、そう思うの。だから私達警察は組織の中で決してはみ出してはいけない。だから納得いかない事でも指示に従うべきなの。その中で捜査していくのが私達の自由なのよ?分かるかな?」
若菜はため息をついて言った。
 「世の中にまるっきりの自由人はいないってかぁ…。人間ってメンドクサイですね〜…」
そう言って遠くを見つめた若菜に思わず笑いそうになる。
 「恐らく加藤綾美の件は私達が思っている以上に何か大きな事態になっているという事ね。婦警失踪事件の中で重要なものを含んでいるのでしょう。下手に掻き回して組織に迷惑をかけてはいけない。だからひとまず加藤綾美の件は忘れましょう?ねっ?」
 「分かりました。」
静香が良く使う組織という言葉に、まだまだ自分の事しか考えていない自分に気付かされた。
 「じゃ、気を取り直して薬物ルートの割り出しを急ぐとしますか。出元を探せば必ず覆面男の正体に辿り着くと信じて、ね。」
 「はい!」
若菜もその組織の中の1人になろうと決めた。何故か…それは何となく大人になった気分になれそうだったからだった。


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