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LADY GUN
【推理 推理小説】

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極嬢狩り-6

 引き抜いた小型カメラを見つめて息を切らす綾美。胸がソワソワした。報道に関わっている人間である。もし流出したものが自分のだとバレた時の事を考えると怖くなってきた。
 「リベンジポルノ…?でもここ2年は彼氏いないし、だいたいこのアパートを知る訳がない…。ストーカー…?」
思い当たる節がない。ストーキングされていた覚えもない。色んな男の顔を思い浮かべるがこんな事をするような男は思い当たらない。誰がやったのか分からず小型カメラを一点見つめていた。
 その時だった。背後に人の気配を感じた。
 「だ、誰!?」
振り返った瞬間、身の毛もよだつ悪寒が走った。それは自分も原稿を読み何度も報道した事のある、まさに覆面だったからだ。
 「人気キャスターはオナニー好きってか?フフフ」
何とも言えない低い声の響きにゾッとした。
 「だ、誰!?」
恐怖で体が動かない。目を丸くした表情が恐怖を物語っていた。
 「毎日ニュースで自分の口で報道してるだろ?その俺だよ…。」
 「嘘…。ま、まさか…。わ、私…婦警じゃ…」
 「婦警じゃないけど、でもそれ以上の価値がある女だって事は自分でも分かるんじゃないのか?フフフ。」
 「…」
覆面男の言っている意味は綾美には分かった。
 「しかしクールに決めてる人気アナウンサーの加藤綾美が、実はオナニー中毒とはな。嬉しくなっちゃうぜ。」
 「あ、あなたなの…?盗撮カメラを取り付けたのは…。」
 「ああ、そうさ。綾美ちゃんのオナニー動画、いっぱいたまったぜ?俺は先月のさぁ、床にバイブを固定させての騎乗位オナニーが一番興奮したよ?」
 「な…!?」
身に覚えがある。確かに先月にそれをしたし、自分自身最高のオナニーだった。あんなに燃えたオナニーは初めてだった。それさえも見られていたのだと思うと恥ずかしくもあり、ゾッとした。
 「でもさぁ、そんないやらしい自分を視聴者に見せてやりたかったんだろ?願望叶えてやったんだ、感謝しろよ。」
 「は、犯罪ですよ!!」
 「犯罪も捕まらなければ無罪だよ。それに俺にとったらおまえの部屋に忍び込んでオナニー盗撮して流出させた事なんて大したことない犯罪だよ。他に重大な犯罪重ねてるからなぁ。」
確かにそうだ。世の中を騒がしている犯人に今更犯罪を訴えても意味のない事だった。それよりもこれからその犯罪に巻き込まれて行く自分の身を案じるべきだった。
 「…私を誘拐なんてしたらどうなるか分かって…」
綾美の言葉を遮るように言葉を被せる覆面男。
 「分かっててやってんだろうが!」
何も恐れていない余裕の姿にどんな脅しにも怯まないであろう事を感じ取れた。これだけ世間を騒がせてまだ尚も犯行を繰り返す犯人。脅して怯むようならとっくの昔に捕まっている事だろう。
 「しかしおまえは少しは頭がいいようだな。無駄に大声出して騒がないしな。フフフ。」
 「…。」
大声を出して助けを求めても意味のない事は分かっていた。なぜならこのアパートを選ぶに当たって重要視したのは防音だった。AVの音量を気にせず、いつでもオナニーする為にアパートを探していた綾美。このアパートの防音の良さが気に入ってここを選んだ。いくら騒ごうと他の部屋には声が届かない事は知っていた。それと大声を出さなかったと言うより出せなかったのである。それ程綾美は恐怖感に襲われていたのであった。


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