蜜月3-3
『僕はよく分からないのですが町内会に参加するというのは、なかなか大変みたいですね。夜遅くまで拘束されることもあって。初め帰りが遅かったのですが会合に参加する御歴々に慣れてきたせいか、最近は早く帰るようになったのですよ。ははは』
田倉の動きは大きなストロークへと変化していた。屈託のない笑い声が遠くの方で聞こえる。
「そう、それはよかった、ひる……」
卑猥な音を聞かせる結合部に視線を落とし、羽のように肛門をいじくることに集中していたので、危うく昼間に逢うようになったから、と言いそうになった。
彼女は顔を伏せて声を押し殺していた。覚悟を決めてセックスに没頭しているように見える。快感を探っているのかもしれない。ほんの少しだけ指先を埋没させると、「ひッ」と、かすかな悲鳴をあげ、腰をぶるっと震わせて彼女はこちらを振り向いた。泣きそうな表情で小さく首を振る。
嫌がることは今まで極力避けてきたつもりである。田倉だけが盛り上がっているわけで、これ以上惨く責めようとは思っていない。爪の先だけ入れた指先は、あまり動かさないようにしようと思う。肩とあごでケータイをはさみ、左手で汗ばむ尻肉をつかんでいた。
『それにしても息が荒いですね。大変そうなのでわたしはもうこのへんで……』
「ちょっと待ってくだ……」
慌てたせいでケータイがあごからすべり落ちてしまった。手の上に落ちたあと彼女の尻で弾んだ。シーツの上に落ちそうになったので両手で素早くキャッチした。手がクッションになり、彼女は落ちたことに気付くことはなかった。彼女はセックスに集中している。膣のしまり具合でそれが分かる。
ケータイを耳に当てようとしたが、やめた。ゆっくりとその手をそこに向けて――下げていった。
彼女がこちらを振り向くような気配を感じた。会話がつかの間途絶え、動きも止んだからだ。ケータイをつかんだ手で彼女の髪を撫で、すぐに動き始めた。こんな快感は初めてだった。顔が引きつっている気がする。目もつり上がっているのだろう。見られたくはない。髪に触れたさわさわした音も――向こうには聞こえたはずだ。
ケータイを耳に当てると、『もしもし……」と聞こえたので、「すみません」と返事を返す。
「なにか食べているんですか? さっきも聞こえましたよ。ごそごそと音もしますし』
わずかな時間であったが結合部の水音を聞いたはずだ。
「……いや、落としてしまって、水回りの近くに」
答えを考えていなかったので潜在意識の中にあった言葉が思わず口から出た。水回りに違いない。
『あはは、注意してください。ではこのへんで……』
「少し待っていてください」と小声で言うと、『はあ……』と聞こえた。佐伯はもう切りたいのだ。今までも会話の端々にその気配は感じていた。無視して通話を保留にした。律儀な彼はケータイを耳に当て、保留音を聞きながらずっと待っているはずだ。本当は保留にしたくなかったが、射精への一本道なので膣壁でペニスを荒くこねなくてはならない。大きな声を出され、本当に発覚しては元も子もない。
尻肉を両手でつかみ、先端まで引き抜いてぱんと腰をぶつけた。
「はうッ」
彼女は首をのけぞらせた。乱暴に抜いてからまた入れた。これを繰り返しながら親指で肛門をこすってやる。腰を浮かせるようにして逃げるが許さない。
最初から田倉のペニスをまるまる飲み込んだわけではない。初めてつなげたときは全部入らず彼女は音をあげた。
あの遊園地でジェットコースターに乗り込むとき、目の前に彼女の尻が突き出され大写しになった。生唾を飲み込み、この尻の中に自分のペニスは全部収まる、この大きさであれば陰門から子宮頸部まで普通の女性よりは距離はあるはず、きっと子宮も柔らかい、と思った。まさに予想どおりであった。
全部入らないのは、田倉のペニスが大きいというよりも彼女の膣が狭いのだ。果たしてそのしまり具合は田倉を有頂天にさせたわけである。女の体は男の体にいくらでも馴染んでいくもので、回数を重ねるうち深々と挿入できるようになった。今ではよく濡れるようになったせいもあり比較的容易に根本まで入る。今でも狭い箇所はそのままあり、途中で引っかかる感じがとてもよい。深く差し込むごと上下の膣壁でぎゅっと挟み込まれる感触は最高である。佐伯は彼女の膣の良さを理解しているのだろうか。いずれは彼女に聞いてみたい気もする。
愛液でぬるぬるになったペニスは、粘膜を巻き込みながら滑らかに出没を繰り返している。途中でこくっとした感じの引っかかりを十分に味わいつつベッドを揺らしていた。腰を密着させたままひねり回し、角度を変えてピストンさせ、フィニッシュに向けて規則正しい反復運動を始めた。