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LADY GUN
【推理 推理小説】

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性奴隷-12

 前にあった山を登り始めた車。どんどん登って行く。それほど大きな山ではない。すぐに頂上付近に到達した。後は下るばかりだ。田舎だが街の灯りも見えた。ホッとした聖子。しかし車が頂上付近のちょっとした駐車場らしき場所に停まった。
 「ちょっと一服を…」
男性の言葉に耳を疑った。一刻も早く山を降りて助けを求めたい状況なのにタバコを加える男性に言った。
 「タバコなんて後にして下さい!早く山を降りて警察に通報しなきゃいけないんです!早く車を出して下さい!」
 「タバコ吸いたいんですよ!さっき中途半端に捨てちゃったから吸い足りないんですよ!」
 「だったら吸いながら運転して下さいよ!!」
 「俺の車は禁煙車なんですよ!」
 「いいですか!?非常事態なんです!タバコなんて吸ってる場合じゃないんですっっ!!」
聖子は凄い形相で男性からタバコを奪い放り投げた。
 「…」
動きが止まったままの男性。
 「早く出して!!」
大声を張り上げた聖子。すると男性の口が動いた。
 「それが助けて貰う人間の態度かよ…?」
その声はこれまでの声とは違いとてつもなく低い声だった。
 「えっ…?」
口調がだいぶ違う声に思わず聞き返した。
 「誰のおかげでここまで来れたと思ってんだよ?」
聖子は我に返った。
 「ご、ごめんなさい…。私…つい…」
 「ついじゃねぇだろ?おまえは逃げる道具としてしか俺を見ていない。助けてくれるのが当たり前…そう思ってんじゃねぇのか?」
 「そ、そんな事はありません…感謝してます。」
 「口だけだろ?だから警察は…嫌いだ…。」
 「えっ…」
聖子はドキッとした。その声に聞き覚えがあったからだ。聖子の心臓がドキドキしてきた。
 「馬鹿な女だ…フフフ。」
男性が聖子を直視した。なかなかのイケメンだ。しかし聖子の体は本能で震え始めた。何度も見つめられた覆面の奥の目…同じ目をしていたからだ。
 「ま、まさか…」
 「まさか何だよ?」
聖子の体がどんどん震えてくる。
 「嘘…嘘よ…!!」
 「フフフ、そのまさかだよ…。おめでとう。おまえが警察が目の色変えて捕まえたがっている犯人の顔を見た初めての女だ。中央署の弓野聖子ちゃん。」
 「あ…」
そう、この男性は今、警察が必死で追い求めている覆面男達のリーダー、モンスターTこと田口徹だった。
 「いい女だったけど、顔見られちゃったからなぁ…。フフフ」
 「あ…」
なぜ倉庫にいたはずのこの男が先回りできたのか考える余裕などなかった。覆面顔など比較にならない程の恐ろしい笑みが聖子の瞳に映っていた。


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