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想いを言葉にかえられなくても
【学園物 官能小説】

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想いを言葉にかえられなくても《トロイメライ》-12

 そう、あれからだいぶ月日は流れた。

 五年生になり部活の最後の大会も済ませ、12月…あたしも誕生日を迎え20歳になった。聖からの連絡は全く無い。

 『約束』はもう叶わないのだろうか。

 ダルい冬休みも終わり後は卒業式を迎えるだけとなった。
 『約束』しか見えてなかった中学の時とは違う。あたしは進路もきちんと決めた。卒業したら上京する。都内の小さなオフィスの事務員だけど。聖に少しでも近付きたいし、自分から前に進まなくてはいけないから。
 あたしはずっと待つって決めたんだ。たとえ、お婆ちゃんになっても。聖を想う気持ちは変わらないから。


………………
「……以上、卒業生退場。皆さん拍手でお送り下さい。」
 ぞろぞろと体育館を後にする。泣いてる子もいる。
「卒業生の皆さん!第二体育館に集合して下さいっ!」
 廊下を歩いていたあたし達は、校内放送によって卒業式を行った第一体育館とは別の、校舎の西側にある第二体育館へと案内された。
 中に入ると体育館の半分、ステージ側が黒いカーテンで覆われている。

 ざわめくあたし達。そんな中、トランペットが勢いよく鳴り出した…。

 カーテンが左右に開かれる。眩しいほどのライトでセットされた特設ステージ。吹奏楽部の後輩達が放射線状に半円を描き、並んで演奏している。その中心……グランドピアノと黒い人影。

 ピアノを主旋律に他の楽器が静かに伴奏を奏でる。ゆったりとした綺麗なバラード。
「あれ、恭介君じゃない?」
「あ、み…見えないよ。ダメ…見えない」
 ジャンプしてもちっとも見えない。背が小さいから押し潰されそう。ダメ…苦しい……。
 人垣から離れ後退する。サプライズイベントに皆は興奮し、ステージぎりぎりに群がっている。
 ピアノの隣りに立っていた人物がマイクを握る。

 その、第一声に涙がこぼれた………。


『僕のStroberry
ぎゅっと抱き締めて僕だけのものだと言って
甘酸っぱいStroberry
唇からしたたるその雫さえも愛しい
ねぇ君は覚えてる?
僕がこんなに愛してる事を
僕がこんなに欲しがってる事を
もう二度と放さない
この手から放さない
君は今でも甘酸っぱい
僕だけのStroberry』


      終わり


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