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私の愛したAn-organ
【悲恋 恋愛小説】

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私の愛したAn-organ-6

「いくら雅人クンを一時的に呼び起こす事は出来ても、実際に手術をするのは暁クン自身手術・・というか私のこの提案事態不安定な所も多いし、暁クンが結果手術をしその後何かかしらの障害などが残る危険性があるの」
 「・・・・」
 「というかまだ暁クンが手術を受けるかどうか分からないけど」
 「・・その手術を彼が受ければ」
 「えぇ、雅人クンに会えるわ、彼の脳を一時的に交換して」
 「だったらその手術、受けますっ!」
 「何言ってんのよっ!」
 「!」

 突然の先生の言葉に驚く

 「・・御免なさい、でもここちゃん、それがどういう意味か分かってないじゃない」
 「分かってますよ、雅人と話せて」
 「分かってないっ!」
 「!・・・・」
 「手術を受ければ確かに雅人クンと話せる、でもそうすると暁クンになにかかしらのリスクが背負われるのよ。」
 「・・・・」
 「貴女は大好きな雅人クンに会えるなら暁クンはどぅなってもいいって訳ね?」
 「そんなっ、私は別にそんなつもりで・・」
 
 ここに背を向け少々強い口調で言う
 「暁クンと相談して、決めることね」
 「・・・・」
 その後先生にお礼を言い、病院を後にした。

 「あっ、暁」
 「んっ?」
 玄関で下校しょうとする暁を引き止めて
 
 喫茶店

「お待たせいたしました」
 コーヒーが二人の元に運ばれ、ここは躊躇いはありつつも手術の話を切り出そうと暁の顔を見上げると・・
 「・・ここ、お前は俺の事、好きにはなれないって、言ったよな?」
 先に先手を打たれ、彼はそのまま話を続け
 「でも俺は諦めないから、ここを好きと言う気持ちは変えられないんだ」
 「あ・・暁」
 手術の相談をする勢いを失い、困惑し
 
 不思議そうにここの顔を見上げると
 「ここ?どぅした、具合でも悪いのか?」
 「・・えっ?いや、そんなことは」
 「・・・・所でお前、なんか話があるんだって?」
 「え、あぁまぁその」
 「一体なんの」
 ガタッ

 話を遮り、席を立つここ
 「おいっ、ここぉ」
 「別に、対した事無いの、ゴメンね」
 「対した事無かったら、わざわざこんな所に呼ばんダロ」
 帰ろうとするここを引き止める暁
 「待てよ」
 「ちょ、放して!」
 もみ合う二人、するとその拍子に1枚の名刺が落ち、拾う暁
 「一篠・・先生?、心理カウンセラー?」
 「あっ」

 「・・なんだよ、これ」
 「・・・それは」
 ここは観念し、全てを打ち明けて

 公園、子供達が無邪気に走っており
 「・・そぅだったのか、それじゃーあの日の練習試合も、俺の中に眠って居た兄貴が
覚醒したってのか」
 「えぇ、そうよ」
 「お前が俺を付きまとってたのは、兄貴に会えるかもしれないと」
 「えぇ、その通りよ」
 「・・・」
 「・・貴方がこうして生きていられるのは貴方のお兄さんの臓器があったから」
 「・・兄貴」

 戸惑いの隠せないで居る暁
 「その、手術を受ければ・・再び兄貴を呼び起こせると」
 「・・」
 ここは無言で返事をした、彼女の中で雅人にもう一度会えると言う希望は既に消えうせていた。
 「・・・・駄目、だよね私がただ雅人に会いたいが為だけに貴方に危険な思いをさせて
 「・・ここ」
 「話ってのはそれだけ」
 そう言い、公園を後にしようとすると
 
 「いいよ、手術・・受けるよ」
 「!」
 暁の思わぬ返答に驚きを隠せないここ
 「手術がどういうものかホントに分かってる?貴方が雅人に会える訳じゃないのよ?
私と雅人が良いおもいをして、暁はただただ自身の体を危険におかされるだけで・・」
 「構わねぇよ!」
 「!」
 「・・確かに兄貴とお前が俺の寝てる合間に話を交わすなんて腹立たしいけど・・それ
以上に俺は・・俺はお前に幸せで居て欲しいんだ」

 「暁・・」
 「・・それが・・お前の願望なら俺は、喜んでこの体を差し出す」
 「・・でも下手したら貴方の体が」
 「俺は本来であれば死んでた、兄貴とともにアノ事故で・・」
 「・・・」
 「だから、それでお前が幸せに、いつも笑顔で明るい、俺の大好きな結城ここで居られるのなら、こんな体いくらでも差し出すぜ」
 「ぁ・・あぁ」
 彼の言葉に胸が熱くなり

 「さぁ、行こうか手術をしに」
 そぅ言って、病院へ向かおうとすると

 「・・ここ」

 背後から病院に行こうとする暁を強く抱きしめ
 「ここ・・」
 「私っ私っ、ずっと・・ずっと寂しかったの、彼が亡くなってからずっと、ずっと
 ポッカリと穴が空いた気がして」
 「ここ・・」
 「映画の約束をすれば、いつも少し遅れる雅人」
 「バスケの試合後汗だくながらも『やぁ』と私を元気づけてくれる雅人」
「私に嫌な事があって話を聞いてもらうときも口出しひとつせず耳を傾けてくれる雅人」
 「そんな温厚で優しい彼がもう私の元に居ない何てそんな現実が受け入れられなくて」
 「だから・・だから私は、私わぁっ!」

 「もういいっ!喋るな!」
 「!」

 そういうと暁は苦しむここを強く・・強く抱きしめ

 「あ・・あき・・ら」
 「もういい、何も話すなっ!」
 「・・・・」
 「そんなここを俺は見たくない、見たくないよっ!」
 「暁・・」
 「どんな、どんなつらい時でも笑顔でいてくれっ!」
 「!」

 その時、生前雅人が満開の星空の下、ここに言った言葉を想い返す

   『ずっと、どんな時でも明るいここでいてくれ・・』

 「あ、あ」
 「・・・」

 「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっん!!!」

 この日の空はとても深い茜空だった

 
 


 


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