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私の愛したAn-organ
【悲恋 恋愛小説】

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私の愛したAn-organ-5

薄暗い部屋、だが水槽からライトが照らされ中で魚たちが泳いでいる
 「珍しいね、暁が水族館に誘うだなんて・・」
 「まぁな」
 どこか照れくさそうにここに構わず先に行こうとする彼の顔を覗き言う・・。
 「なんかあった?」
 「別に、元気なさそうだったからよ」
 「暁・・」
 ほんとに珍しいとつくづく不思議がるも
 「ありがとうっ!じゃあ、いこっか」
 「あぁ」

 それから二人は小走りで奥の方へ向かい、それから魚を観たり、ときにはふざけあったり、お土産コーナーでは暁にどっちが良いか訪ねたりとし、楽しいひと時を過ごした

 夕暮れ
 
 「あー、楽しかったぁ」
 「ほんと、今日は刺身かなぁー」
 「やっだぁ、暁てばぁー」

 人気の無い道、二人は上機嫌で家へ向かい
 
 「うーん、素敵な茜色、明日は晴れかなー」
 「・・・」
 「暁、今日はほんとありがとう、私の為にわざわざ」
 「いや、いいんだソレは・・」
 「でも、今日だって練習があったはずジャン」
 「まぁな、でも息抜きも必要さ」
 「暁も一端に人の為に行動出来るようになったんだね」
 「・・・」
 「暁?」

 顔を背け表情をこわべる暁
 「ゴメン、ほんの冗談のつもりだったんだけど」
 ここの話を遮り口を開く
 「っ為じゃない・・」
 「えっ?」
 「別に、お前を元気づけたくて誘った訳じゃ」
 「・・でもさっきは」
 「今日はほんと、楽しかったよ、ここ」
 「・・暁」
 頭に?マークが浮かぶここ

 「・・じゃーなんで私を誘った訳?」
 「それは・・」
 「私を元気づけたくて水族館に連れてってくれた訳じゃないんだよね?」
 「まぁ、それは・・そうだけど」
 いつも強気で物事はっきり言う暁らしくないと感じつつも
 「もぅ!なんなのよ、どうしたのよ!」
 「それは・・」
 「暁ぁっ!」


       「お前の事が ; 好 き ; だからダヨッ!!!」

 「!!」
 「・・・・・・」

 ここと暁はしばし無言となり

 「・・暁」
 「・・・・」
 「やだっ、何よ突然・・冗談はやめて」
 「冗談なんかじゃねーよ、俺は本気でお前の事が好きなんだ」
 「暁・・」
 呆然と立ちすくむここを置き、ゆっくり歩き彼女に背を向け

 「・・最初は、ほんとに最初子供の頃からお前の事が好きだったんだ」
 「・・・・」
 口を閉じ、ひたすら彼の言葉に耳を傾け
 「最初はただの幼馴染として良い奴だなって・・思ってた、でも!ここと一緒に過ごしている内に、だんだん、友達という感覚が薄れてきて」
 「ならっ!どうして今の今までそれを言わなかった訳?」
 「・・・・兄貴が・・兄貴がいたから」
 「!!」
 ハッとした表情を浮かべ

 「雅人・・」
 急に亡くなった恋人を思い出し顔を下げ・・
 「兄貴はお前の事が好きだった、そしてお前も兄貴のことが好きだった」
 「・・・」
 「兄貴が死んだのは悲しい、兄貴が死んだと聞かされた時そぅとう荒れたんだ『俺が助かったんなら兄貴だってっ』父さんがボロボロになるまで問うつめたよ、ただひたすら俺の肩をしっかり掴んだまま・・」
 「暁・・」

 「あの日は御免なさい、あんな酷い事言って・・」
 「いや、俺のほうこそ、殴って悪かったよ」
 「・・・・」
 「・・・・」

 「だけど、俺の中で悲しい信じられないでもっ、それ以上に」
 「・・・兄貴が死んでよかった・・そぅ思ってしまって」
 「暁!」
 「これでここと向き合える、そんな事考えて」
 「・・・」
 複雑な表情を浮かべて
 「悪い事だとは思っている、血の分けた兄が亡くなったってのに・・まして兄貴が好きだったここを俺が横取りするなんてっ!そんなの・・そんなの兄貴への裏切り行為だから」
 「でも、それでも俺はここが好きだ、お前のその明るい笑顔がっ!」

 「・・・・」
 「だから、そのお前は・・俺のこと、どぅ思って」
 「買いかぶらないでっ!」
 「!」
 「『兄貴が好きだった』?『これでここと向き合える』?何言ってんのよ、私は今でも雅人を愛してるわ、彼だって・・・その天国で見守っていてくれているハズ・・」
 「ここ・・」
 「暁の気持ちはとっても嬉しい、私だって貴方の事が好き、一緒に居るとなんだか楽しいし」
 「だったらぁっ!」

 「でもっ、それは悪魔で幼馴染として、彼氏の弟として!」
 「・・・」
 「・・今日はほんと楽しかったよ」
 「ここ!」
 慌てて引き止めようとするしぐさをする
 「じゃ、気をつけて帰ってねぇーーっ」
 動揺を必死に隠しつつ逃げるようにして暁の元から去り
 「ここ・・」

 「・・暁」
 人の賑わう道で一人元気がなく
 すると、突然ここの携帯が鳴り出し
 「一篠先生?」
 画面に一篠先生の文字があり
 「もしもし?」
 「あっ、ここちゃん、今大丈夫?」
 「えぇ、まぁ・・どうかしました?」
 「あのね、実は私あれから色々調べたのそしたらね」
 「!」

 病院
 「ここちゃん」
 彼女が来るのを待ちわびたように近寄ると、ここは先生が話す間も与えず
 「雅人に会えるって本当ですか?」
 「・・・・えぇ、まぁ彼が生き返って実体となって会える訳じゃないけど」
 「それは分かってます、だから早く彼にっ!」
 「ちょっと待ってぇ、話を聞いて」
 冷静を取り戻したここ、部屋の奥から飲み物と取りに行く先生

 「それじゃー、暁をここに連れて特別な手術をすれば!」
 「えぇ、だけどそれにはリスクもあるわ」
 「リスク?」
 
 


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