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異種間交際フィロソフィア
【ファンタジー 官能小説】

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隔世遺伝の絶滅種-3


 ***

「ギルせんせ……んんっ!?」

 目視できないほど素早く、エメリナは人狼青年の腕に捕らえられていた。
 息が止まりそうなほど抱きしめられ、唇が塞がれる。

 互いに泥と血で汚れきっていたから、口内にじゃりじゃりと小石が混じった。
 エメリナを片手でしっかり抱き留めながら、ギルベルトがもう片手をかざし呪文を唱える。

「っ!?」

 金色の炎が、床に座り込んだままの二人を、足先から舐めるように這い登ってくる。
 熱くも痛くもない浄化の炎を見るのは、久しぶりだった。

 子供のころ、熱を出し入浴が辛いと、母がよくこれで汗を清めてくれたものだ。
 ギルベルトの手が滑らかに動き、炎をあやつり引き伸ばす。ざらつく湿った感触が消え、心地よい温もりに包まれる。

 衣服の汚れも綺麗に燃えたが、傷んだ箇所までは治らない。スカートはボロ布同然で、手持ちで一番高かったストッキングも穴だらけの無残な姿になっていた。

「この姿のエメリナを、大勢に見られたと思うと、妬けるな」

 低い声で囁かれ、下着の見えるギリギリまでむき出だった太ももを、あわてて手で隠した。

「あれだけ汚れてたら、誰も変なことなんて考えませんよ!そ、それより先生こそ……」

 よく見れば、ギルベルトは上着を一枚肩に引っ掛けただけの全裸だった。
 頬を赤くし顔を背けるエメリナに、ギルベルトが苦笑する。

「変身する時は、服を脱ぐか破くかしなくちゃいけないからなぁ。なかなか不便なんだ」

「あ、なるほど……」

 一瞬、可愛いペット用衣服を着たチワワが頭に浮かんだが、どう考えても狼には似合わないだろう。
 その合間にも汚れは着々と清められ、わずかに髪先へ残った最後の炎も消えうせた。
 とたんに、待ち焦がれていたように、再び唇を奪われた。

 抱えあげられ、傍らのソファーへ座らされた。
 向かいに立て膝をついたギルベルトは、初めての夜と同じ、捕食獣の光を瞳に宿らせている。

「変身の後は、興奮が収まらない……できるだけ優しくするから……」

 片手を掴まれ、指先にギルベルトの口元が寄る。
 砂利で切ったのか、そこに小さな切り傷ができていた。
 浄化の炎は傷口を清めてるが、傷自体は癒せない。
 指だけでなく、エメリナの体中に、もっと大きな打ち身やすりが無数についていた。

 ぬるりと傷口に熱い舌が這う。
 かすかな痛みと共に、ゾクリとした感覚が背筋を這い登った。

「っ!」

 声をあげそうになり、あわてて唇を閉じる。
 片手を終えると、もう片手の傷をなめられた。その次は、膝の擦り傷に舌が移動する。獣が舐めて傷を癒すように、執拗に舌が這う。

「んっ、んっ」

 唇をかみ締め、喉奥で喘いだ。
 動こうとすると、強い力で押し戻されるから、エメリナはソファーにもたれた姿勢で、縫い付けられている。

 スカートをまくられ、ストッキングの残骸も剥ぎ取られる。
 太ももの打ち身を舐められると、全身がとめようもなく震えた。




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