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Betula grossa
【ラブコメ 官能小説】

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プロローグ-6

梓さんを部屋に届けると、部屋には笑美ちゃん一人だった。
「どうする?ソファーの上にでも寝かせておく?」
笑美ちゃんに聞くと
「お母さん達が帰って来るとまたうるさいから....寝室に連れて行ってくれる?」
「俺はいいけど....」
「それじゃ..お願いします....」
笑美ちゃんに案内されてベッドの上に梓さんを寝かせると
「お姉ちゃん!スーツ脱がないとシワになっちゃうよ!」
笑美ちゃんが梓さんのスーツを脱がせ始めたので
「俺はこれで!」
慌てて寝室を出た。
「待って!純兄ちゃん!」
「えっ?」
「宿題でわからない所があるの....教えてくれる?」
「別にいいけど....」
「それじゃ....リビングで待ってて!」
俺がリビングで待っていると、梓さんの世話を終えた笑美ちゃんがリビングに戻って来た。
「ソファーに座ってれば良かったのに!」
「そうだね....」
俺がソファーに座ると
「コーヒーでも入れるね!」
「あっ!夜も遅いし....別にいいよ!それよりわからない所って?」
「ゴメン....ウソなの....そう言わないと純兄ちゃんが帰ってしまいそうだったから....」
「えっ?」
「だって....純兄ちゃん....お礼も言わないうちに帰ろうとするから....」
「お礼なんて別にいいのに....」
「ううん。最近お母さん達うるさいの....お姉ちゃんが正体不明になるまでお酒を飲んでいるって....今日だって純兄ちゃんがいないとまた....」
「そうだったの....」
笑美ちゃんは両親を亡くして、梓さんの両親に引き取られた。淋しい事などあるはずなのにそんな素振りを見せずにいつも笑顔を見せてくれている....俺はそんな笑美ちゃんは強い子だと心からそう思った。それに比べて梓さんは....初めて出逢った時はしっかりしていて、仕事が出来る人って印象だったのに....
「ただいま!」
「あっ!お母さんお帰り!」
「あらっ?純君!来てたの?」
そう言って訝し気な目で俺を見た。
「あのね!純兄ちゃんに宿題を教えてもらってたの!純兄ちゃんの部屋に行こうとしたら、こんな時間にそれはマズいからって来てくれたの!」
「あら....そうだったの....ゴメンね気を遣わせて....」
少し安心したように俺を見つめていた。
「いえ....」
俺は笑美ちゃんの気遣いに感心した。
「梓は?」
「もう寝ちゃったよ!」
「そう....あっ!笑美!純君にコーヒーぐらい出しなさいよ!」
「いえすぐに帰るつもりだったので断ったんです!俺..そろそろ失礼します!それじゃ....」
立ち上がって帰ろうとすると
「純兄ちゃん!今日はありがとう!」
笑美ちゃんは玄関まで見送りに来てくれた。
「あっ!そうだ!忘れてた!オバサン!この前はありがとうございました!」
「えっ?何の事?」
玄関まで歩いて来たオバサンに
「この前、弁当を作っていただいて....」
「何言ってるの!作ったのは笑美よ!私じゃないわよ!」
「でも....材料まで笑美ちゃんが用意したわけじゃ....」
「気にしなくてもいいのよ!私達のを作るついでたから!笑美にとっては私達の方がついでだったかもしれないけどね!」
「えっ?」
「ちょっと!お母さん!変な事言わないでよ!純兄ちゃんは気にしなくてもいいからね!」
「ああ....わかった....とにかくありがとう!それじゃ!」
俺が部屋を出ようとした時
「あっ!純兄ちゃん!明日また作ってもいい?」
「あのパソコンは本当に使っていない要らないパソコンだったから....あまり気を使わなくていいよ!」
「それでも....純兄ちゃんに食べて欲しいんだけど....」
オバサンを見ると、笑顔で頷いた。
「俺は笑美ちゃんの作った弁当を食べられて嬉しいけど....無理はしないでね!」
「うん!」
笑美ちゃんは嬉しそうに笑った。


ベッド上で横になってふと思った。俺は最近女運に恵まれていると....笑美ちゃんの手作りの弁当を食べられたし、姫川さんとデートまがいの事もした。今日だって梓さんの胸を....

そんな幸運に期待を膨らませていた。


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