機械音痴の初メール-4
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ショッピングモールは、勤め帰りの人間で賑わう時間になっていた。
外はもう薄闇に差し掛かっているが、無数の照明で建物の中は煌々と輝き、リズミカルな音楽があちこちから流れてくる。
「ありがとうございました〜♪」
ローザはテナントの出口でお客さまに袋を渡し、お辞儀して見送る。
(さーて、閉店まであと一時間!)
気合を入れ、棚に並んだ服を直していると、後ろから急ぎの足音が聞えた。
(ん?これは……)
ピーンとアンテナが鳴った。
金曜のこの時間は、週末のデートに来ていく服が無いと、焦って駆け込む客がたまにいる。
ローザはこれを嗅ぎつける勘が鋭い。
(上下一式お買い上げの予感!)
満面の営業スマイルを浮かべ、振り返る。
「いらっしゃいま……」
「ローザぁぁぁ!!!」
「エメリナ!?」
息を切らせて飛びついてきた親友ごと、ひっくり返りそうになった。
「お、お願い、助けて……あ、あ……あと、十六時間しかない……」
ずっと走って来たのか、頬は上気し、大きく肩で息をしている。
「ちょ、なに!?どうしたの!?」
他の客や店員が注目する中、ただ事でない様子のエメリナを両手で支え、問い質した。
「少しでもいいの……もう、いじけない!頑張るから……っ!」
唇をわななかせ、息を切らせながら、エメリナは切れ切れに訴えた。
「わ、わたし……綺麗になりたいのーーーーーっ!!!!」