Purple memory-2
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―――ブロロロ・・・・・
―――ピッ・・・ポッ・・・・・ピッ
タクシーが空港の敷地を出て目的地に伸びる海岸線道路に入ったところで、
男はポケットから携帯電話を取り出して“目的地”の家の電話番号を手早く押した。
2年前に聞いていた番号。そして1週間前に自分の携帯宛にかかってきた住所の番号でもある。
―――プルルルル・・・・プルルルル・・・・・
―――ガチャッ・・・・
『・・・・もしもし』
「ワッカか、俺だ」
『・・・もしかして、ジェクトさんですか?』
「ああ、俺だ。さっき空港に着いた。今タクシーでそっちに向かっているところだ。
この道路の状況なら恐らく30分くらいで着けるだろう」
『すいません。ジェクトさんにはこんな遠くにまで来てもらって、本当にすいません・・・・・』
「水くさいこと言うな。もう引退したとはいえ、同じプリッツボールのチームで同じ釜の飯を食った仲じゃないか。
それに今回ルールー絡みでもある。
俺でできることなんてたかが知れてるが、顔くらい出さんとな」
『すいません・・・本当に・・・・』
「時に、イナミ・・・だっけか。ガキんちょも家で一緒なのか?」
『いえ・・・・今は近くの家で預かってもらってます。1人で、しかもこんな状態では育児なんかできる状態ではありませんから・・・・・』
「そうか・・・とりあえず細かい話は直接顔を合わせた時にしようか。実際ワッカと顔を合わせるのも、2年ぶりになるか」
『そうですね・・・確かルールーとの結婚式直前くらいだったかな・・・・』
「そんなになるか・・・・まぁ、続きは後でな」
『はい、それでは・・・』