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坂を登りて
【その他 官能小説】

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後編-7

 寝床で裸で向き合って座り、小夜子は念を押した。
「ほんとに初めてなのね?」
ゼンリョウはこっくりと頷いた。
「うそついたら……」
「ほんとだよ……」
 正座した股間から細身の一物が真上を向いてそそり立っている。初めは隠そうと布団で被ったのを小夜子が引き剥がしたのである。中学生ではない。これから男になろうとするのにしっかりしなさいと、口には出さないが態度で叱咤したつもりだった。
 強張った表情からみても初めてというのは本当のようだ。小夜子の裸身を眩しそうに盗み見ている。

「今日だけよ」
「はい……」
「経験すれば気持ちの整理がつくのね」
「はい……」
口を結んで顎を引いてみせた。
 三十近くにもなって遊びもしなかったのかと思いながら、何も訊かなかった。こうなったら腹を決めるしかない。

 彼の腕を取って膝立ちの恰好で見つめ合った。手を乳房へと誘う。
「いいのよ……」
ぎこちなく動き始めた。
「あたしのオッパイ初めて触ったのはゼンリョウくんだったわね」
(城山で……暑い夏……)
そしてご開帳にまで発展したのだ。

「小夜ちゃん……」
そのまま肩を抱き寄せて口づけした。乳房を掴んだままもう一方の手が小夜子の背に回り、密着した。一物が挟まれる形になって、彼が腰を引いたのは過敏になっているのだろう。
 口を離すとゼンリョウはすでに喘ぎ始めていた。大学生を男にしたことはあるが、たまたまそうなっただけで小夜子はプロではない。とりあえず一度射精させたほうがいいと思った。様々な刺激を与えてみよう。

「横になってみて」
仰向けにさせ、膝の辺りに跨って、一物の先端を外してそっと握った。
「あ、小夜ちゃん」
「じっとしてて……」
小ぶりだがちゃんと剥けててズキズキと脈打っている。ゼンリョウが少し頭をもたげて見ている。
 とろりと唾をつけて含んだ。
「あああ……」
ゼンリョウは両手を広げて磔みたいな恰好になって顔を歪めた。少し震えている。相当敏感になっている。ならば早く落ち着かせよう。唇を絞って呑み込み、音を立てて上下させた。
「ああ!小夜ちゃん!だめ!」
(イッテいいのよ!)
さらに速める。
「だめだ!出る!」
どくんと口中に生温かいものが広がって、どろどろと続く。飲むつもりはなかったのにどうするか考えていなかった。仕方なく咥えたまま少しずつ嚥下し、同時に先端を舌で転がした。
「くうう……」
身をよじる。直後がことさら敏感なのは知っている。悶えるのを構わず舐め続けた。
 全部飲んだつもりでもわずかに残っていて気持ちが悪い。小夜子はうがいをするために洗面所に立った。
(変な味……)
味というより臭いや舌触りを含めて妙な感じである。過去に何度か経験しているが、苦手である。
(今日はしょうがない……)

 部屋に戻るとゼンリョウは胡坐をかいて股間を拭っていた。その姿は悄然としていて明らかに落ち込んでいる。
 これはまずいなと思い、小夜子はわざと元気よく言った。
「さあ、これからが本番よ。ゼンリョウ、一緒にお風呂入ろう。出たらビール飲もう」

 湯船に浸かりながらあえて彼にすべてを預けたのは考えてのことだ。女体に慣れさせる。そのため、感度が鈍くなっている時に存分に触れさせようと思ったのである。
「好きなとこ、触って」
ゼンリョウはすっかり小夜子の体に魅入られて返事もない。童貞の男が狭い湯船で全裸の女と一緒なのだから無理もない。
 胸を揉み、大きく息をつき、ふくよかな尻に手を回していとおしむように撫でてくる。
「きれいだ……小夜ちゃん」
「ありがとう……」

 頃合いをみて、小夜子は立ち上がると浴槽の縁に片足をかけて花園を披露した。おまけに指でご開帳。とっくに潤っている。小夜子も盛りの体である。全身を撫でられて感じないではいられない。
「よく見て」
毛先から滴が垂れている。
 ゼンリョウは鼻が触れるほどに顔を寄せてきた。
「どう?昔とちがう?」
「あの時は、こんなによく見なかった……」
独り言のように呟いた。

「あ……」
ゼンリョウの口が陰門を塞いできてぴりっと感じた。
 鼻の孔を膨らませ、目を閉じ、顔を振りながら口を動かしている。赤ちゃんがオッパイを飲んでいるみたいだ。気持ちいい……。でも今日は自分が楽しむわけにはいかない。
「体洗おうか」
 少しは免疫になるかしらと体を洗わせながら彼の股間を観察した。やや復活しかけているものの、まだだ。
 ゼンリョウの手や体が小夜子にまとわりついてくる。
「気持ちいいよ、ゼンリョウくん」
 今度は小夜子の手が動く。一物を両手で包むと擦り立てた。すぐに硬くなってズキズキとと反発してくる。
(十分だ)
よしとなれば急がねばならない。またイッテしまったら時間がかかる。彼を促して上がることにした。

 いざとなって、どうするか考えた。結合するだけなら小夜子が上位になって行えば事は早いが、彼に主導を持たせてあげたい。それが重要だ。
 仰向けになって膝を曲げて開脚した。出来るだけ腰を上げてから、
(上向きすぎても入れにくいか……)
角度を考えて、
「さあ、ゼンリョウくん」
迎える小夜子を見下ろしている彼の股間にコンドームを着けた一物が見えた。あの頃と比べるとやっぱり大人になっているんだと思った。
 迫るゼンリョウ。にじり寄って位置を定め、先端が触れた。そしてぐっと押しだしたことでぴったり宛がわれたことがわかった。この時が急激に高まるのだと経験でわかっている。思わず強い口調になって彼の腕を引いた。
「くるのよっ」
同時に小夜子は腰を突き出した。ぬっと挿入され、重なってきて完全に納まった。
「ああ、小夜ちゃん」
小夜子は脚をがっしり巻き付けた。
「入ったよ、ゼンリョウ」
小夜子も感じて締め上げる。拙い動きながら彼が前後に腰を揺すった。


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