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サディスティック・スパイラル
【SM 官能小説】

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第一章 ポンプ-5



犬に頬を舐められている。
ぐったりした身体を動かすのも億劫なのでそのままにしていた。重い眠りに身を任すことにも苦痛を感じていると頬から頸にかけて犬の唾液でびっしょりと濡れていることに気付いた。
犬はまだ顔を舐め続け、時々荒い息遣いが聞こえる。シーツに濡れた頬を擦りつけて唾液を拭おうとすると耳を甘噛みしながら舌を差し込んできた。
「やめなさい!」
犬を追い払おうと一喝した。一瞬、間があいたが、再び耳の穴にクチャクチャとした舌の粘着質な音に意識が覚醒しはじめた。
(ここは……ここは、どこ?)
ハタと気づいて目をあけると犬ではないボンヤリとした人間の顔が蠢いている。
「いやあああああああっ!」
「うはははっ! 起きた、起きた。早く起きないかと待っていたんだ」
冴子は慌てて起き上がろうとするが、頑健な力で身体が固定されていて全く動ける状態ではなかった。
「何、何なのよ! どういうこと、これ!」
小宮山がワイシャツを脱いだランニング姿で冴子の脇で添え寝している。
「あのね。君が酔いつぶれちゃったから家へ連れてきたんだ」
冴子は寝たまま、改めて全身を見回した。ベッドに寝かされた状態だが、手首が頭の横で頑強な鉄の輪で固定されている。いつの間にかワンピースが脱がされブラとショーツだけの下着姿にされていた。まさか小宮山を相手に肉体関係をもつことなど考えもしなかった冴子はごく普通のベージュの下着をつけていた。
「片桐さんは本当に綺麗な肌をしているね。寝顔を見ていたらついつい舐めたくなってしまってね」
小宮山はそう言って再び冴子の頬をペロリと舐めた。
「うぐぐぐっ! 気持ち悪い! こんなことして、ただで済むと思うの! 犯罪よ、犯罪!」
ビチャビチャに濡れた頬をベッドのシーツで拭いながら叫んだ。
「片桐さんが第三者に遺体で発見されるか、自分で申告しないかぎり犯罪は成立しないんだよ」
「私を殺すとでもいうの」
「殺すわけないじゃん。だって僕は片桐さんのことが大好きなんだもん。ずっと好きだったんだ」
切なげな目をして小宮山は冴子を見つめ、細い一重瞼の目で丸々と太った顔を近づけてきた。
「冗談じゃないわ! あなたなんかお断りだわ。離して! 早く離して!」
固定されていない足をよじらせて何とか拘束から逃れようとした。
「僕はさ、君が顔や体型で判断するような女じゃないってことを解っているんだ。君だったら僕のポンプの素晴らしさを解ってくれるはずさ」
「あなたのポンプの話はうんざり。こんな姿にして! 立派な犯罪だわ」
小宮山に下着姿にされたことに、恥ずかしさより憤りのほうがずっと強かった。自分の不覚からとはいえ、泥酔している女から衣服を剥ぎ取る小宮山の卑劣な行為に激しい怒りを感じていた。
「だからさ、今から君を僕のポンプの虜にさせてあげるよ。絶対いいからさ」
冴子は小宮山が何を言っているのか理解できなかったし、理解しようとする状況ではなかった。早く拘束をといてもらい、小宮山に舐められた顔をシャワーで清めたかった。
「ねぇねぇ。君はさぁ、意外にオッパイ大きいんだね。しらなかったなぁ」
冴子は小宮山の視線が全身に注がれているのに気がついた。
「肌が綺麗だ……。くびれたウエストから広がるラインが……。ああイヤラシイ。こんなイヤラシイ身体しているなんて。たまらないなぁ」
冴子は、ネットリと舐めまわす視線をあびて、初めて小宮山を男と認識した。だが、その認識は危険の認識でもあった。欲望の高まった男は、その瞬間野生の牡にもどることが多いことを冴子は知っていた。
「小宮山さん、こんなことするのは良くないわ。あなたの将来に傷がつくのよ」
「大丈夫だよ、冴子さん。傷つけたりしなよ。絶対気に入ってもらえるよ」
小宮山の目が異様な光を放ち、息が荒くなっていた。冴子の言っていることすら理解できなくなるほど興奮している。冴子の拘束されたベッドの脇に立ちランニングシャツを脱ぎズボンのベルトをゆるめだした。
「小宮山さん! いけないわ、そんなこと! チョット! 小宮山さん!」
大きく突き出した巨大な腹の下のパンツが膨らんでいる。小宮山の牡の角が目の前でフルフルと揺れ動いているのがわかる。
冴子は突き出した小宮山の下腹を蹴ろうと長い足を折りたたむようにして身体に引きつけ身構えた。だが、冴子の頭からベッドに這い上がった小宮山は、固定された上半身から跨り押さえつけたので冴子は万歳の恰好のまま身動きできなくなってしまった。
「いけません!」
「あははははっ! オッパイだぁ!」
「いやああああああっ!」
小宮山の肉厚な手がブラごと乳房を寄せ集めるようにして絞り上げた。そして、シナシナと優しい手つきで揉み込む。無抵抗な冴子を思う存分触れる喜びに小宮山が口を歪めて嗤っている。邪悪な性に支配された邪鬼のような顔が怯える冴子の顔にますます相好を崩していった。
 胸の双丘に小宮山の指が頂点の突起を探し求めて這いずり回り出した。ブラの上から探る指に、その小豆はいとも簡単に発見されてしまう。冴子はその時思わず女の声を発してしまった。
 (おかしい……)
 冴子は感度が良い方だが、いくらなんでも愛撫の初期段階からこんなに感じることはなかった。身体の感覚がいつもより鋭くなっているようだ。そういえば、小宮山とビアレストランで杯を重ねるごとに身体が熱くなっていき、最後は疼くような感覚になったのを思い出した。それに酔いのまわりの早さもおかしかった。
 冴子の困惑した表情を見た小宮山が卑屈な笑みをうかべた。
 「どうした? 淫乱の血が騒ぐのかい?」
 「小宮山さん、あなた……。もしやハルシオンを……」
 「ピンポーン。正解、ハルシオンです」
 「あなた、卑怯だわ!」


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