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クラスメイトはスナイパー
【コメディ その他小説】

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クラスメイトはスナイパー〜鳥カゴの鳥〜-3

「ごめんね〜。こいつ馬鹿だから……」
ケーキを平らげた烏丸は、笑顔で紅茶をすすりながら返事を返す。
「彼、面白いね。もしかして二人は恋人同士なの」
それを聞いた瞬間、可奈子の顔が熟れたトマトの様に真っ赤に染まった。
そして、なぜか立ち上がり身振り手振りを加えながら一人で喋り始めた。
「ちっ、違うよっ!三五は、小さい頃からのお隣りさんでいわゆる幼なじみって言うか、世話の焼ける弟ってゆうか……とにかく馬鹿で世間知らずで妄想癖がある人種だからほっとけないってゆうか……」
うわぁぁ、マシンガンみたいに喋りやがるな。
しかも全文、僕の悪口だし……。
良しっ!
そっちがそうくるんなら僕も……。
「まぁ、ようするに僕がこの化けもん女に取り付かれてるって事だね」
ズビシっ!
本日、三度目の昇天。
「じゃ、私そろそろ帰るね」
僕に一撃を入れた後、可奈子が立ち上がった。
そして、ドアの前で振り返り烏丸にこう告げた。
「烏丸くん、そいつそんなんだから学校でも友達少ないんだ。だから……仲良くしてやってね」
烏丸は笑顔で一度頷き、小さく「うん」と答えた。
それを聞いた可奈子は嬉しそうな笑顔で僕の部屋を後にした。
……窓から差し込む光りは、いつしか夕日に変わっている。
可奈子が居なくなった事により、急に僕の部屋は静まり返る。
「フゥ」
烏丸は息を静かに吐くと唯一、自身が持って来ていた白いリュックのチャックを開き始めた。
僕はその様子を横目で確認しながら、気まずさに負け口を開く。
「まぁ、これから一緒に住むんだし……キミがどうしてもって言うんなら友達になってあげてもいいよ」
しかし、烏丸からは返答がない。
聞こえていないのだろうか?
そうこう僕が悩んでいる間も烏丸はリュックから、何かのパーツらしき黒い物体を取り出しては床に置いていっている。
長細いものや大きいもの、中にはスコープらしきもの、全てのパーツを出し終わった烏丸は手際よくそれらを組み立て始める。
そして……完成したのがスナイパーライフル。
烏丸は組み立て終わったスナイパーを見つめる。
「傷はないようだな……」
「はてな」
あっ、思わず疑問詞が言葉として出ちゃった。
いきなりやってきた転校生兼居候がリュックからスナイパー取り出して傷はないようだな……って全く意味が分かりまへんわ。
なんやそれ?
あっ、もしかしてエアガンか?
それを僕に見せびらかしたいのだろうか?
なめんなゴラァ……と言いたい所だが、そこは僕も準社会人。
お世辞の一つくらい言ってやるか。
「いやぁ烏丸くん、いいエアガンだね、実にいい」
言いながら烏丸の持つスナイパーに触れる。
途端、烏丸は立ち上がり僕の胸倉を掴み上げ壁にドンっとたたき付けた。
一瞬の出来事と、もの凄い衝撃に何が起こったかも解らずたじろぐ僕の喉元にひんやりとした何かが押し当てられた。
まさかとは思いつつも、そこに目をやってみる。
……ナイフ、うん、まぎれもなくナイフだ。
切れ味良さそうだね、いいナイフだね、うん。
烏丸は、するどく尖ったナイフと同等に鋭い目付きを僕に向けながら低い声で唸った。
「あれに触れるな……殺すぞ……」
「だぁぁぁぁぁああ」
僕を掴む烏丸の手を振りほどき、無我夢中で自室から飛びだし階段を転げ落ちる様におり、いや落下しマイマザーを目指す。


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