白雪=憲の理想?-1
うーむ……。
む、白雪だ。
見ての通り、考え事をしてるんだ。
『白雪=憲の理想?』
四月になって、めでたくアタシ達は三年生になった。
憲達に言わせれば、『受験がある今年は全くめでたくない』らしいけど。アタシからすれば、十分めでたい。憲と一緒のクラスになれたからな。
我が舞阪高校は三年生になると、文系理系でクラスが分けられるのだ。
憲とアタシ、それに麻衣と高坂、それに愛里は文系を選び、同じクラスになった。孝之だけは理系を選んだため、違うクラスになってしまったが。
ちなみに高坂と愛里のバレンタインのその後だが、付き合いはしていないものの、関係は非常に良好らしい。つまりは良くある『お友達から始めましょう』な関係なんだと。
さて、それでは何故にめでたいクラス分けだったのにアタシが悩んでいるかと言うと、だな。
まぁ、憲が関係してる事は言わなくてもわかるだろう。
その、なんというか………アタシは憲の理想に叶ってるいるのだろうか………。
それが知りたいんだ。
目の前の鏡台には、眉間にしわを寄せたアタシの顔が映っている。
む、なんだその顔は?アタシだって女だぞ。
化粧だって、たまにはするんだ。
……え?悩む理由……?
それはだな……まぁ、回想してみるとしよう。ここで話すより、幾分わかりやすいはずだ。
「OK、ではつぎは……」
目の前で教科書を見ながら、人指し指を唇に当てている女性がいる。
もちろん教師だ。
名前はキャサリン・C・マグブリース。今年からこの舞阪高校に赴任してきた外人教師である。
出身地はイギリス、しかし在日三年目なので、日本語はペラペラだ。
女のアタシから見ても、すごい美人だ。ウェーブのかかったブロンドの綺麗な髪が、胸までのびている。
その胸もまた、なんというか……デかい。○姉妹みたいだ。まぁ、多分○姉妹と違って、天然だろうなぁ。
女のアタシから見ても、美人だと感じるのだ。男どもが鼻息を荒くしない訳がない。
もはや授業そっちのけでキャシー(彼女がそう呼んでほしいと言った)に釘付けだ。視線の先はどうせ顔か胸だろう……全く。
アホ面ひっさげてどいつもこいつも、これだから男は……!!
でも、アタシは思っていた。
憲はそこらの男とは違う。
アタシはそう思って疑わなかった。
アタシの憲は、どれほどの美人な女性が目の前に現れようと、現を抜かすような男ではないと……。
つまり、アタシはそれほど憲を信頼していて、それでいてわかってなかったのかもしれない。
そんなアタシに、一抹の不安感を植え付けてくれたのは、やっぱり麻衣だった。
勘違いするといけないから言っておくが、アタシは麻衣に感謝してるのだ。麻衣があぁ言ってくれなかったら、アタシはこう悩みもしなかったろうが、反対に憲の事を信じすぎて、憲が見えなくなっていたかもしれない。
持つべきは友、と言うことだ。
うん?どんな事を言われたのか?
おっと、それを言い忘れていたな。アタシが悩んでいる理由も分かるから、しっかり聞いとけよ。