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脅迫文=恋文?
【コメディ 恋愛小説】

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憲=頼りない?-5

「で、でも何か有った方が良かったろ?……こんな事なら、もっと早い時期に誰かに相談してれば良かったなぁ」
「誰にも相談しなかったのか?」
「あぁ、誕生日プレゼントくらい、俺一人の手で選んで渡したかった。でも、そんな意地はるからこんな事になったんだな。頼れる所を見せようと思って頼りない所を見せちまった………」
俺は、自分はそこまでしっかりした彼氏ではないと思っている。
勉強も運動も、白雪に及ばない。そんな情けないままでは彼氏なんて言ってられない。
だから、誕生日プレゼントぐらいは一人で選んで渡したかったのだ。
が、その結果がこれだ。全くもって笑える。
「ごめんな、白雪。頼りなくて」
「……馬鹿だな」
全くだ。。
「白雪の言う通り、俺は馬鹿だよな。誕生日プレゼント一つ買えない、馬鹿な…頼りない」
「そう思ってるから馬鹿なんだ」
………?
どういう意味なんだ?
「憲は、アタシがどれだけ憲を頼りにしてるわかってない。だから馬鹿って言ったんだ」
白雪が俺を……?
「誕生日プレゼント一つ買えないぐらいで、そんなに卑屈になるなよ。だいたい、誕生日をアタシ自身が忘れてたんだぞ。プレゼントもなにもあったもんじゃない」
そ、そんなもんかなぁ……。
「憲もアタシも、まだ高校生だ。出来る事はたかが知れてる。だから、正直に言ってしまえば憲はまだまだ頼りない。でもな、アタシの『心』は憲を頼りにしてる」
白雪の心が……俺を頼りにしてる?
「前にも言ったろ?アタシはもう憲がいないと駄目だ、って。それはアタシの『心』が憲なしにはもう生きられないからさ。精神的な話になっちゃうけどな、アタシの『心』の拠で一番大きくて一番頼りにしてるのは憲なんだよ」
……………。
「だから、憲。頼りないなんて言うな。アタシの『心』は憲を頼りになる男だと思ってる」
………ありがとう、白雪。
すごく嬉しい。
何か、すごく誇らしい気持ちになった。白雪の中で、自分が特別な存在としている事がわかって、たまらなく嬉しかった。
まぁ、気恥ずかしくもあったけどな。
「じゃあ、憲の悩みも吹き飛んだ所で……ほら」
おもむろに白雪はチョコを手渡した。
「残さず食えよな」
恥ずかしいのか、顔は何故か横を向いている。
いやぁ、幸せってこういう事を言うんですなぁ。
包みを解いて、箱を開けると中には三つのハート型のチョコがあった。
「美味そうだな。じゃあ、いただきます」
まずは左上のチョコ…………!!??
「し、白雪……ち、チョコに何を混ぜた?」
「え?あぁ、それにはな、『キムチ鍋の素』入れたんだ。憲は甘いの苦手だろ?だから工夫したんだ」
く、工夫ですか?
これは工夫なんですか?
なんと言うか、もはやチョコじゃない。チョコの形と色をした何かが俺の口の中にあったんだ。
「じ、じゃあこれは?」
恐る恐る右上の指さす。
「ブラックペッパーだ」
………つまりは黒胡椒か。バリエーションに富んでるなぁ。
「じ、じゃあこれは?」
残りの一個を指さす。頼む、これは普通であってくれ!!
「コーヒーを混ぜてみた。味見したけど美味かったぞ」
おぉ、つまりはビター味なのか?
ちょっと違うかもしれないが……まぁ良いや。
とりあえず、ブラックペッパーチョコを心で泣きながら食し、最後のコーヒーチョコを口にした。
これは確かに美味しかった。
「美味かったか?」
「う、うん。まぁ美味かったけど……」
「けど…?」
「来年からはコーヒーだけで頼む」
まぁ、こういう世間しらずと言うか、突拍子も無い所も魅力の一つなんだろうな。
と言うわけで、白雪のいろんな所がさらにわかったバレンタインだった。



END


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