赤塚沙樹と母親の犬 第4話-1
「あのね、沙樹。私とケンタは愛し合っているの。」
「えっ…。」
私にはなにを言っているのかわからなかった。ただ、お母さんの雰囲気からして冗談ではないらしい。お母さんは優しくケンタの頭を撫でながら、私に言った。
「あのね、沙樹。正直に言うと、あなたも、あなたのお父さんのこと嫌いになっちゃったの。お母さんは沙樹のこともお父さんのことも好きだったけど、沙樹もお父さんも、私に好きになってくれなかったでしょ?それで、お母さん、凄く悩んでた。そんな時、ケンタの世話をするようになって…。世話をするようになってから、わかったの。ケンタは私を求めてくれてる、私を愛してくれてるって。それで、遂にケンタが私の身体を求めるようになって…。」
お母さんはそこまで言ってから、ケンタのじっと見つめながら、微笑みを浮かべた。
「それで、お母さん、ケンタに抱かれたの!最初は凄く痛かったけど、回数を重ねていくうちに段々と気持ちよくなってきて、今はもうケンタ以外に気持ちよくなれないの!」
お母さんの声が段々と大きくなっていく。しかし、お母さんはそのことに気が付いていないようだった。私はというと、お母さんのいうことが余りにも意外すぎて、なにも考えられない。
「それからはケンタが私の生活の中心になったの!沙樹やお父さんが昼間出て行くと、すぐにケンタを連れ出して、家のベッドで毎日毎日抱かれてた。ケンタはいつも私に優しくて、お母さんはそんなケンタの愛が欲しくて、ケンタに愛を求めて…。でね、ケンタはそんな私に最高の快感と愛を与えてくれたの…。それでね、私とケンタはいつのまにか相思相愛になって…。」
お母さんは顔を赤らめていた。自分のしている告白。その告白を私にしながら、お母さん自身が興奮しているようだった。その姿を見る限り、私にはお母さんの告白自体にウソはなさそうだ……。
「それで、愛するふたりが一緒になるのは当然のこと。だから、私はケンタと一緒に家を出たのよ。そう、沙樹とお父さんを捨てて…。お父さんはどうでもいいけど、沙樹のことでは悩んでた…。だから、こうして沙樹に会って、話をしているんだけどね…。うん、それはいいとして、それでこの家を借りて、名波さんの家からケンタを連れ出して、こうして一緒に暮らしているの…。」
お母さんはそこまで言ってから、照れた顔を浮かべながら、また私に話し出す。
「いまでもケンタが生活の中心なのよ。朝起きて、寝てるケンタの顔にキスをして、仕事に出かけて、家に戻って、ケンタと散歩して…。そのあと、思いっきりケンタと愛し合うの。それで、仕事の疲れや悩みなんて吹っ飛んでね。それで、愛し合うのが終わったら、ケンタと一緒にベッドで眠るの…。とてもステキで大切な時間なの…。ケンタの愛を感じながらだと、不思議とおかあさん、ぐっすり眠れるの。」
お母さんはそこまで言ってから、私をしっかりと見つめ、真剣な視線を私に送る。
「あのね、私とケンタはすごく幸せだから、邪魔して欲しくないの。沙樹は今はまだわからないと思うけど、これから成長していくうちに、きっとお母さんの気持ち、分かると思うの…。もし、なにか話をしたかったら、電話ちょうだい。お母さんができることなら、力になってあげる。あと、誰にもお母さんのこと話しないでね。今言ったことは話していいけど、電話番号とここのことだけは教えないで。知られたくないの、知られたら邪魔されるかもしれないでしょ?それだけはお願いね、沙樹。」