十八歳果実熟れ頃(2)-5
(14)
眠っている美緒をそのままに、坂崎はシャワーを浴び、出てくると缶ビールを持って美緒のそばに戻った。眠っている裸体を眺めながら煙草を吸い、ビールを飲んだ。
つくづく美しい体だと思う。言葉の表現は無用である。昂奮は遠雷のごとくまだ続いている。
股を少し広げて割れ目を覗く。ぐじゅっと音がして泡立った液がとろりと流れ出た。陰唇を開くと膣口からまた液が洩れた。膣に入った空気が内部に溜まった愛液を押し出しているようだ。
(相当な量だな……)
左右相似形できれいに開いている。エロチックで美しく、何ともそそる花びらである。
(こんなにまじまじと観察してことはない……)
見ているうちにまた勃ち上がってきた。
クリトリスの皮を捲って舌で舐めた時、
(ん?……)
わずかに温かいものが滲んだ。愛液ではない。口を離して突起を指で撫でると尿道口からちょろっと洩れてくる。刺激で出てくるようだ。さらに指で擦った。
「伯父さん……」
美緒が半開きの目を向けていた。
「感じる……」
「起しちゃったか。ごめん」
「ううん。寝てないよ。ちょっとぼうっとしちゃった」
「美緒ちゃん可愛いから舐めたくなっちゃったんだ」
「いいよ。ここ、すごく熱いの」
美緒は自ら割れ目を指で開いた。
「もっと入れてほしい」
その一言で二度目の挿入に移った。
「むああ……」
美緒が彼の動きに合わせてくる。押し込むと突き上げて奥へ、抜くと締めつつ腰を引く。快感は加速した。
いったん抜いてうつ伏せに促すと心得たように四つん這いになる。大きく張った尻が時に波打ち、またぶつかってくる。
次は座位で、一つの塊になって抱き合い、そのまま美緒に重なろうとすると逆に体を預けてのしかかってきた。美緒が上になった。意思が働いた動作である。
自由を得た美緒の動きは遊泳しているみたいだ。上下、前後、自在に動く。
「美緒!」
「伯父さん!」
乗馬のような動きになった。二度目なのに急激に高まった。
「イクよ」
「あたしも!」
「美緒!」
「イクう!」
絞りに絞った。
気が遠くなり、しばらく意識が薄れていく恍惚感に包まれて体が動かなくなった。
(すべてを出し切った……)
そんな感覚だ。
水底に沈んでいくような浮遊感と心地よい疲労感。心身ともに合体した充実感があった。
翌朝、制服に身を包んで高校生として身支度を整えた美緒は、昨夜の出来事が嘘のようにすがすがしく清潔感さえ漂わせていた。
玄関で振り向くとちょっと顔を赤らめた。
「今度、内緒で来ていい?」
「いいよ。いつでもおいで」
美緒は坂崎の首に抱きついてきた。
眩い歓喜の反動なのか、しばらく重苦しい脱力感を感じていた。
(彩香……美緒……)
二人を思い浮かべてその時々の場面を脳裏に再現する。彩香の表情、声、美緒の肉体、そぼ濡れた秘口。彼女たちのそれらは坂崎の股間を揺るがし、漲らせる。感動という意味では初体験を上回る心の昂揚であった。
しかし、時間が経つにつれ、その高まりに何か引っかかるものを感じるようになった。激しすぎたのか。夢中になりすぎて一人が寂しくなったのか。……
たしかに寂寥感は感じていた。だが、何日も続く空虚な想いには何か別の理由があるような気がしてならなかった。
思い当たったのは陽子の遺影に久しぶりに花を供えた時である。
手を合わせ、笑顔を見つめていると心に風が吹いた。
(陽子……陽子だ……)
封じ込めたつもりでいた良心、あるいは貞操というべきか。不義の後ろめたさが頭をもたげていると感じたのである。
(たしかに、ある……)
胸を痛めるほどではないが、だからこそ知らず知らずのうちに心が沈んでいたともいえる。
陽子が死んで三年が経っている。彼が誰かを抱いても責められることはないだろう。言い訳じみてはいるが、そう割り切って欲に埋没した想いがどこかにある。だが、
(彩香と美緒だ……)
相手がこの二人と知ったら陽子はどんな顔を見せるだろう。遺影は微笑んでいるが、自問するまでもない。
「やっぱり、まずいよな……」
口に出して呟き、一方で美緒の言葉が頭を離れないでいる。
『内緒で来ていい?』
その言葉はめくるめく囁きとなって耳に残っていた。
もし本当に美緒が来たら……。
坂崎は遺影に合掌した。
(抱くだろう……)
美緒の裸体を眼前にして噴き上がる感情に抗えるはずはない。
「陽子……。生きている人間にしかできないことなんだ……」
坂崎はこじつけと思いながら、ふたたび合掌した。