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嘘つきは恋の始まり 
【女性向け 官能小説】

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「で?あの騒ぎから2ヶ月になるけど、あなたたち付き合ってるの?」

「付き合ってるよ」
「付き合ってない」

同僚の小坂さんの質問に私と野口さんの声が重なった。

あの騒ぎから目が合う人ごとに質問されてきたけど
野口さんは一貫して「付き合ってるよ」といい
私は一貫して「付き合ってない」を繰り返した。

落ち着いた結論は野口さんの片思い。で、野口さんはそれでも満足そうだった。
経管の野口さんが狙ってるなら。と私を誘う人がいなくなったから。

桐生さんはあれからすぐに正式辞令とともにNYに旅立った。

私は付き合っていないといいながら
野口さんとは同じ趣味が見つかって
同僚以上の関係になりつつある。

共通の趣味とは「長編のドラマや映画を一気に見る」ことだ。
土日なんかに部屋に籠って何時間も一気に見る。

暗くて陰気で今まで誰にも言えなかったけど
野口さんと同じ趣味だと分かって
それ以来、たまに土日は一緒に一気に見ている。

「チコちゃん。この土日に用ある?」
「ないよ」
「ハリーポッター見ようか?」
「え!見る!見る!あれ最後が泣けない?私スネイプ先生の最後が好きなのよ」
「じゃぁ、今日の帰り、俺の部屋で待ってて。ちょっと残業になりそう」

と言いながら野口さんは鍵を私に渡す。

「DVDは?借りておく?」
「いや。俺全部持ってる」
「さすが!」

こんな会話が全部周りに聞こえてなくても
食堂で堂々と鍵を渡すのはばっちり見えてるはず。

だから近頃噂は「片思い」から「付き合い始めたらしい」に変わってきている。

「それでも付き合ってないんだ?」

アジのフライを口に入れながら小坂さんがやっぱり聞いてくる。

「純粋な映画観賞会なので」

と私が言えば

「野口さん、インポ?ドン引き!」と

小坂さんは小さい声で野口さんに言った。

野口さんは大声で笑いながら経営管理部に帰って行った。
あ。今日もお昼抜きかな。
夕飯でも作って待ってるか。







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