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嘘つきは恋の始まり 
【女性向け 官能小説】

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「経管の野口君ともあろう人がノックもしないでどうした?」

ゆったりと椅子に座っている桐生さんとは対照的に
先生に叱られているようにその目の前に立っているチコちゃん。
何を言われてた?
何を説得されてた?

「私の彼女が営業部の部長と会議室に入るのを見た人がいまして」
「で?これが仕事の話だったら?君はお門違いな行動をしたことになるね。
仕事とプライベートはきっちり分けなさい」

「分けてないのはあなたの方です。チコが泣いてる。何を言ったんだ」
「・・・・これは私たち二人の問題だと思うんだけどね」
「就業中だろ!そんなこと言えんのかよ!」


「もういいの。野口さん。桐生さんとは、今・・・別れたの」
「チコちゃん?」

「桐生さんありがとう。元気でね」
「トモコもな」
「はい」

それだけ言うとチコちゃんは俺の手を引いて会議室を後にした。

「なに?なんなの?」
「桐生さん、NYに栄転だって」
「は?NY?」
「うん。奥さん連れて行くって。私は連れて行けないって」
「・・・・」
「当たり前だよね」
「・・・・・」
「昨日さ、ばれたら桐生さんの出世に響くって心配したじゃない?」
「うん」
「私が心配なんかしなくても桐生さんはちゃんと着実に出世街道まっしぐらだよ」
「だな」

「潮時だったんだね。きっと。合コンで野口さんにあった時から」
「チコちゃん・・・・・じゃぁ、俺と付き合っちゃう?」
「それはない!」
即答かよ!

「当分、恋愛はいいわ」

チコちゃんは昨日よりすっきりした顔で息を吐き出した。







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