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嘘つきは恋の始まり 
【女性向け 官能小説】

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「なんで、わかったんですか?」
「チコちゃんが桐生『さん』って呼んだから」
「・・・・・呼んでました?」
「うん」
「あのっっ。このコト誰にも言わないでもらえますか?」
「なんで?」

なんで?なんでって・・・・
「桐生さんの出世が・・・」
「─────ふたりの関係より相手の出世を1番に考えるの?」

そんな野口さんの言葉に一言も返せなかった。


「お風呂に入っておいで。明日着替えるために朝、家まで送ってあげるから」
「私、泊まるなんて言ってないし!」
「今日、一人で寝られるの?」

じわ〜っと涙が溢れてくる。

「何もしないから。約束するから」
「その約束、信じられないんですけど」
「この前とは状況が違うでしょ。いいからお風呂に入っておいで」

反抗する元気もなくて私はおとなしくお風呂に入った。
言われるがままに野口さんに抱きしめられる形で
ベッドに入る。

「私、本当にエッチしないよ」
「信用ねーな・・・ほら」

ほら。と言ってキンキンに冷やしたアイピローを目の上に当ててくれた。

「明日。目が腫れると困るでしょ。それに明日行ったら噂がすごいぞ」

噂・・・
桐生さんとの?

ビクッと震えた私を包み込むように抱きしめた。

「俺との。経管部の野口がついに落ちたんだぜ?
しかもふたりはぴったり抱き合って退社してる。
見てた社員はたくさんいただろうな〜」

そっちか・・・
ちょっとホッとする。

「ほら。あの子よ。野口さんと一緒に帰った子。彼女なのかな?え〜野口さん騙されてる」

はぁ・・・・
一人芝居ですか?

「そこで俺登場。おいおい。俺のチコちゃんをいじめないでくれよ」

あんた誰・・・

「え〜チコちゃんなんて呼んでるんですか?そ。彼氏の特権。きゃぁぁぁぁ〜」

・・・・・


「な?忙しくなるから。早く寝ろ」

早くって。まだ8時なんですけど。
クスッと笑ったけど
髪をなでてくれる手がすごく気持ちよくて・・・・

私はそのまま眠りに落ちた。










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