キャンパスライフ-1
入学式から数日後のこと
美祐希、ことみ、真由美の3人は構内を歩いていた。
「野球部に入りませんかー?」
「ジャズサークル楽しいですよー!」
どの大学でも毎春の恒例行事であろう、新入生部員獲得競争。
ふと横を見れば、ビラを貰いすぎて戸惑っている新入生もいる。
「軟式テニスサークルです!よかったらどうぞー」
「あ…どうも。」
美祐希は差し出されたビラをとりあえず受け取った。
「別に素直に受け取らなくてもいいじゃん?私達もう決まってるんだし」
そう言うのはことみである。
「だってぇー…なんか申し訳ないじゃん」
「美祐希ちゃん優しいもんね〜」
と、真由美が返す。
「美祐希、もう少し頑張らないとねー。ほら、胸張って!いろんな意味で!」
「え!? それどーゆーこと!?」
戸惑う美祐希に、ことみと真由美は大爆笑。
そんな他愛もない話をしながら、学校探検をする3人。
勧誘の列も終わりに差し掛かったころ
パシャッ
カメラのシャッター音。
気になって横を見ると、そこは写真部のブース。
「ちわー、写真部です!よかったら記念にどうですかー?」
陽気に表れたのは、荒畑晴樹という男子生徒だ。
「ほらほらそこのお嬢さん、いきますよー?」
その掛け声と同時に、美祐希と真由美はフレームから消えた。
「え!私ひとりだけ?」
「いーじゃんいーじゃん、大学入って初ピン写だよー」
からかう2人に、あきらめを見せたことみ。
「撮りまーす、はい、チーズ!」
モジモジしていたが、ちゃんとポーズはとっておいた。
そのあと3人一緒の写真も撮ってもらい、満足げにブースを去る。
そしてその背中を見つめる晴樹の口元は、不敵に歪んでいた。