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嘘つきは恋の始まり 
【女性向け 官能小説】

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-8


「好きになるのに理由なんかいらないでしょ?」
「・・・・・」

「チコちゃんさ。間違ってたらごめんね。・・・不倫してる?」
「え?」
「だから、彼と思うように会えないんでしょう?」
「・・・・・」
「不倫なのにキスマーク付けてほかの男を牽制するような男だよ?」

「違う・・・」
桐生さんは「そんな男」じゃない・・・

「でも事実でしょ?」

「俺なら。隠さなくていい恋をさせてあげられるよ?」

私のことをジッと見つめる目が怖くて
自分がとても汚いことをしている大人のようで

ううん。桐生さんにしがみついている子供のようで
野口さんの目を直視できなかった。



「寂しいんだったら、俺んちよってく?」

スマートに誘われたその言葉に

「大丈夫。ありがとう」といい
別れたのは終電ぎりぎりの時間。

寂しさMAXだった金曜日の夜をなんとか過ごしたら
週末は割と平気だった。

買い物して、掃除して。
月曜日にやっと会えると思って
─────油断してた。


営業部の佐藤さん、名刺ができたから取りに来てくれるように誰か内線して。
という声に
「あ。私、営業に用事があるので持っていきます」
と、用事もないのに営業部に行く口実が欲しくて
名刺を持ってエレベーターに乗った。

久しぶりに見れるかもしれない桐生さんにウキウキしていて
営業部の階でエレベーターのドアが開いたのに気づくのが一瞬遅れた。

桐生さん、席にいるといいな。


「チコちゃん?」


目の前の野口さんが私を呼んだ─────






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