『SWING UP!!』第16話-7
ずぶぶっ……
「あ、くっ……んんぁっ……!」
葵の挙げた甘い声は、“童女返り”をしていた時とは違い、大人の女の“喘ぎ”であった。
「ああ、葵くんの胎内(なか)は、本当に気持ちがいい……」
まだ突き入れたばかりなのに、誠治はその感触に酔いしれている。出し入れをするのではなく、緩やかな円運動をすることで、中の粘膜の濡れ具合を存分に愉しんでいる様子であった。
「じ、焦らさないで……」
「ふふ。わかっていますよ……」
葵の腰が妖艶に前後するのを見逃さず、誠治は腰を引いて、一突きをした。
ぐちゅりっ…!
「んひぅっ!」
淫猥な水音が跳ね、背中が反りあがり、臀部に震えが走る。
「いきますよ、葵くんっ」
ぐちゅ、ぐちゅっ、ぐちゅぐちゅっ……
「んぉぅっ、あ、あふぅっ、うぅ、ぅうあぅうっ!」
うつ伏せになっているので、篭もったような葵の嬌声が、洗面所に響いた。
「今日は随分と、いい声で啼くのですね」
「は、あぅっ、ん、い、あ、ああぅぅっ!」
獣のような葵の艶声は、あまり聞かれるものではない。だから、それだけで誠治は、興奮が更に募ってくる自分を、どうにも抑えられなかった。
「僕らは今、犬みたいな格好をしてますよ」
「あ、あふぅっ、あ、い、いやぁっ……!」
「ふふふっ、そんなにお尻を振って……雌犬にでも、なったつもりなのかな?」
「んぉぅっ、あんぅっ、あ、ああんっ、あぅうああぁああっ!」
左右に揺れる臀部をしっかりと押さえつけ、誠治は興奮の滾るまま、葵の胎内を深々と、貫き突き続けた。
ぐっちゅ、ぐっちゅ、ぐっちゅ、ぐっちゅ……!
「おあぁああぁっ! あぅ、あっ、あぁあぁっ!」
「う、おっ……葵……中がすごい、締まって……!」
不意に大きく葵の背中が反って、びくびくと痙攣を始めた。突かれるまま、前触れもなく、エクスタシーに達したのである。
「くっ……!」
誠治は、その締まりの中で、己を前後させ続けた。
「う、あっ、な、なんて、すごいっ……!」
「ああぅっ、ああっ、んくぅぁああぁぁっ!」
エクスタシー状態の葵の胎内を前後することで、凄まじい快楽が誠治の中に躍り狂った。まるで自分を咥え込んで、離そうとしない葵の意思が反映しているようである。
「あ、葵っ、葵、あおいっ……!」
夢見心地のまま、誠治は葵の名を呼んでいた。
「あくぅっ、んぅああぁああぁぁぁあぁぁっ!!」
更なるエクスタシーを迎えた葵の絶叫が、洗面所の中に響き渡る。
「くっ、で、出るっ……葵、きみの中に、出すよっ、あおいぃいぃっ!」
「あふっ、き、きてっ……! あ、き、きてますううぅううぅぅっっ!」
誠治もまた、自己を見失ったかのような悶えの中で、生命のマグマを先端まで立ち昇らせた自らの“雄峰”の爆裂を、そのまま、葵の中で大いに打ち放って見せていた……。
「少し、反省しています……」
「少し、じゃ、足りませんっ」
洗面所で行為を終えて、荒い息をようやく整えた二人は、そのまま浴室の住人となり、シャワーで簡単に体を清めあってから、同じ臥所に戻ってきた。
我に返った葵の頬は、浴室にいる間から、少しばかり膨らんでいた。見るからに機嫌を損ねている。それでも、誠治の腕の中にしっかりと収まっているのには、苦笑を禁じえないところがあるのだが…。
「わたし、抱っこされて……」
「ええ」
「お、おしっこ、見られて……」
「うん」
「すごく、恥ずかしかったんですから……」
「ふむ」
同じ“おしっこ”にまつわる話でも、おむつの後始末をされているのとは違う羞恥が葵にはあったようで、それが今の膨れっ面に繋がっているらしい。
「えーっと、葵くん、そのほっぺたは、どうやったら元に戻るんでしょう?」
こういう一面を見るのは久しくなかったので、誠治としては新鮮な感じもしたが、機嫌を直してくれたほうがやはり嬉しいと思うので、なんとか葵を宥めることにした。
「……たら」
「え?」
少しの沈黙があって、葵が何かを呟いたが、それを誠治は聞き逃してしまった。
「……さっき、みたいに」
「うん」
「わたしのこと……これからも、呼びつけてくれるなら……許して、あげます」
「あ、ああ……」
葵の放尿姿に興奮して、そのまま洗面所で“後背位(バック)”でことに及んだわけだが、興奮のあまり確かに葵のことをそのまま名前で呼びつけていた。
「えっと……」
だが意識すると、気恥ずかしさがあって、なかなか口に出来ない。
「………」
葵の唇が尖ってきたので、誠治は観念したように、深く息を吸い込んでから、彼女の望むことを口にした。
「葵」
「!」
葵の表情が、一気に喜色に緩んでいた。なんとも現金な様子であるが、名前ひとつでここまで機嫌が直るのであれば、悪い話であるはずが無い。
(女の子は、名前を呼びつけてもらうことに、こうまで特別なものがあるんですね……)
葵と、体も含めて男女の関係になってから、大分時間を経てきたはずなのに、まだまだ知らないことは山のようにありそうだった…。