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『STRIKE!!』
【スポーツ 官能小説】

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『SWING UP!!』第16話-8


「はぁ……」
 携帯電話を片手にして、義姉の美野里の溜息を聞いた航は、その原因が何処にあるかわかっている。
「みのねえちゃん、どったの?」
 早くから家を離れている翔(かける)はその事情をよく知らないので、遠慮なしに美野里に向かって、聞きたいことをそのまま口にしていた。
「あ、うん、いいのよ〜。こっちのことだから」
「えー。みのねえちゃんがそんなんだと、気になってしょうがないじゃん」
 Jリーグの前半戦を終えて、少しの休みをもらったことから、クラブハウスから久しぶりに実家に帰ってきた翔は、大好きな義姉の沈うつな表情が気がかりで仕方ない様子だった。
「翔、みのねえをあんまり困らせるなよ」
「なんだよ、航。家族の悩みは、家族の間で分け合うってのが、木戸家の家訓じゃないのかよ」
「わかってるさ。だからって、みのねえを困らせちゃいけない」
「ふふ。二人とも、久しぶりに会ったのに、喧嘩しちゃイヤよ〜」
 心優しい義弟たちに、そんな表情をさせてしまった自分を戒めるように、美野里はいつもの笑顔を二人に見せた。
「心配してくれて、ありがとうね〜。翔ちゃん、大好きよ」
「え、へへ、よ、よしてよ、みのねえちゃん」
「ぶー、かける、でれでれしてるぅ」
「してるぅ」
「うおっ、チビどもいつの間に!?」
「チビじゃないもん、みかだもん」
「みくだもん」
 翔の足元には、いつのまにか、姪っ子二人(美加&美玖)が取り付いていた。
 この二人(美加&美玖)は、翔に随分と懐いている。いつも優しく面倒を見てくれるもの静かな航のことも好きなのは間違いないが、陽気な翔にはそれ以上の“親しみ”を持っているようだった。
 だから、母親に“大好き”と言われて相好を崩した翔のことが、少し気に入らなかったのだろう。おませなことに、やきもちをやいたらしい。
「翔クンって、務さんに似てるかもね」
「結花には、そう見えるのか?」
「うん」
 リビングで寛いだ様子の結花は、これで二度目の対面となる航の双子のきょうだいの翔を、そのように捉えていた。なるほど、だから、姪の二人が翔にとてもよく懐くのかもしれない。
「航は、亮さんに似てるけど」
「よく言われるけど、あんまり自覚はないんだよなぁ」
「あんころとか、大好きじゃない。バスにも酔っちゃうし」
「それは……そう、だけどさ」
「あと、さりげなく、優しいところとか……」
「結花……」
「あー、キミたちねえ。独り身のボクの目の前で、イチャイチャすんの、やめてくんないかなぁ!」
 結花と航が、息のあった様子で語り合っているのを見て、姪っ子二人(美加&美玖)を足元に纏わりつかせながら、翔が拳を握り締めていた。
「翔クンも、イチャイチャしてるじゃない」
「イチャイチャ〜」
「イチャ〜」
「これは、違う! 断じて、違う!」
 美加と美玖を両足に引っ付けたまま、必死に抗弁する翔であった。
「ふふ……」
 そんな様子を見て、美野里が再び微笑を見せていた。航とつきあいを始めた結花も含めて、木戸一家の家族同士の仲の良さに、こうやって自分も入っていられることは、このうえない幸せである。


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